刑事コロンボ 66話『殺意の切れ味』リアルかみさんと対決

新刑事コロンボ 66話 殺意の斬れ味
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コロンボの身内に犯人がいるという『権力の墓穴』というエピソードを彷彿とさせる。鑑識員パトリック・キンズレーと愛人キャサリンの共犯である。キャサリンには、横暴な夫クリフォードがおり、邪魔な存在となっていた。そこで、夫と対立関係にある人物を殺害して、その罪を被せるという展開は今までにはなかった。

ただ、犯人パトリック・キンズレーが殺人に加担する動機が弱いというのが気になった。愛人であるキャサリンにそそのかされて殺害計画を企てるので、惚れた弱みというやつなのだろうか。

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データ

脚本:チャールズ・キップス
監督・制作:ヴィンセント・マケヴィティ
制作:クリストファー・セイター
制作総指揮:ピーター・フォーク
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

本編時間:92分
公開日:アメリカ/1997年5月15日 日本/2001年4月13日

あらすじ

資産家クリフォード・カルバートは、株取引において不正な情報を提供し、資産を過大に評価し負債の総額を隠していたため、投資家ハワード・セルツァーは損害を被り訴訟を起こす準備を進めていた。

これを利用し、クリフォードの妻キャサリンは、愛人パトリック・キンズレーは、訴訟を進めるハワードを殺害したうえで、夫クリフォードに罪を被せた。さらに、パトリックはロス市警のベテラン鑑識員であり捜査を有利に運ぶこともできるのだった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:パトリック・キンズレー
役者:デヴィッド・ラッシュ

吹き替え声優:船越英一郎

概要:ロサンゼルス市警鑑識員の男性。数ヶ月前まで警察学校の先生をしていた様子。鑑識歴15年のベテランであるが、コロンボ警部とは初対面だったようだ。コロンボ警部は20年間刑事をやっていると『奇妙な助っ人』で語っており、2人はすれ違いが多かったのだろう。

愛人キャサリンがおり、彼女の計画である『ハワードを殺しクリフォードに罪を被せる』というアイディアを、ベテラン鑑識員の経験から内容を考え出した。ハワードの自宅で彼を射殺し、ハンディクリーナーでカーペットの繊維を回収。その繊維をクリフォードのスーツに付着させ、犯行現場にいたことに照明させるという、真新しい科学捜査のようだ。

しかし、まさかキャサリンが、繊維をスーツの背中に付着させるとは夢にも思わなかっただろう。カーペットに転がりでもしない限り、スーツの背中には繊維は付着しないであろう。ズボンにでも付着させておけば、完全犯罪は成功した可能性が高かった。

自宅かホテルか?寝室のみ紹介され、隣にはシャワールームが備え付けられていた。また、冷蔵庫の中には白ワインだけが入っていた。十徳ナイフをポケットに入れて持ち歩いており、栓抜きでワインコルクを抜いたり、葉巻の端を切り落とすのに使用していた。


今回の犯人:キャサリン・カルバート
役者:シーラ・ダニーズ

吹き替え声優:藤田淑子

概要:資産家クリフォード・カルバートの妻。横暴な夫に嫌気がさしていたが、離婚すると現在の豪勢な暮らしがなくなってしまう。そんな時、夫がハワード・セルツァーから訴訟を受ける。愛人パトリック・キンズレーと共犯となりハワードを殺害、クリフォードに罪を被せて逮捕させる。

そうすれば、現在の地位を失わずに邪魔な夫を廃除できる、悪魔のような計画を思いつく。アイディアは彼女のものであるが、内容自体はパトリックが考えており、彼女はノータッチである。

昔はかなりの貧乏暮しであり、再び貧乏に戻るのだけは避けたかった様子。コーヒーには甘味料だけをいれるようだ。また、車酔いしやすいようで、後部座席は乗らず助手席を好んでいる。


今回の被害者:ハワード・セルツァー
役者:レイ・バーク

吹き替え声優:小室正幸

概要:株仲買人の男性。クリフォード・カルバートが不正な情報を提供。資産を過大に評価し、負債の総額を隠していたという。このことで、買った株が大打撃を受け多額の損害を受けてしまった。顧問弁護士トレイシー・ローズと訴訟を起こす準備を進めていた。

自宅はベルヴェア地区にあり、豪華な家に住んでいる。理想の家を買うために夢中でお金を稼ぎ、気が付けば独身である。寂しさを緩和させるためか?灰色のペルシャ猫を飼っていた。

不正な情報で大損するは、クリフォードに逆上され殴り飛ばされるは、関係ない第3者に殺されることになるなど、大変かわいそうな被害者である。

小ネタ・補足

〇2018年11月3日放送『刑事コロンボ 完全捜査ファイル』にて、船越英一郎氏が声優として起用されたきっかけとしては、サスペンスドラマで、コロンボの吹き替えをしている石田太郎氏に、コロンボのファンであることを伝え、犯人役をやってみたいと頼んだところ、石田さん経由で正式に抜擢されたそうである。

ディアゴスティーニの『新・刑事コロンボDVDコレクション』第21号「殺意の切れ味」には、船越英一郎氏のインタビュー記事あり、詳しく読むことができる。

まとめ

「殺意の斬れ味」というタイトルだが、正直パッとしない。どういったストーリーであるのかがわからいのである。これならどのエピソードに名付けてもいいじゃん! となるネーミングは勿体ない。

残念な点とはしては、ラストシーンである。事件が共犯によるものだと、どこで感づいたのかをコロンボ警部が懇切丁寧に映像と共に振り返って説明をするのである。映像をリプレイするのも完全な蛇足のように思えた。

自分としては、刑事コロンボのラストシーンというものは、犯人退場の捨て台詞、動かぬ証拠の提示により物語が終わる鋭い『斬れ味』が醍醐味であると感じる。

いつもよりコロンボ警部が真犯人に気が付くのに時間がかかったりするのだが、警部も最初から全てを見抜いているわけではなく、捜査により導き出した過程を整理し推理していくのだと改めて感じさせる場面でもあった。

犯人の職業設定は良かった。鑑識員という警察側の人間でありながら犯罪に加担するという、お互いに反発し合う関係にこそ面白さ生まれてきた。もう少し年配のベテラン鑑識員の引き起こす殺人事件というもの観てみたかったとも妄想した次第である。

以上、「殺意の斬れ味」でした。

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