『刑事おじゃるンボ』質の高いパロディ

【VS.子鬼トリオ】NHKのEテレで放送された、「おじゃる丸」第9シーズン28話(748話)のエピソードになります。こちらは、タイトルからご察しがついた方がおりますでしょうか?過去、同じくNHKが放送をしていた「刑事コロンボ」のパロディになっています。

刑事コロンボは倒叙形式の作品になっており、刑事おじゃるンボでも倒叙形式になっていました。また、BGMがコロンボのOPのパロディだったり、台詞に至るまで原作をリスペクトした内容になっております。

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ココが見どころ‼

〇元ネタはもちろん……。子供たちは視聴して分かったのか!?

〇刑事コロンボのオープニング音楽も完全パロディ!

〇映像を駆使した質の高いミステリー

データ

データ:詳しく見る
脚本:山田由佳

制作:NHK

演出:牛草健

作画監督・原画:小華和ためお

本編時間:7分30秒

初回放送:2006年5月10日

あらすじ

月光町にある大きな屋敷、応接間でいつものように掃除をする子鬼トリオ(アオベエ、アカネ、キスケ)だったが、脚立に上り照明の掃除をしていたキスケが、バランスを崩して落下してしまう。その際、柱時計を清掃中のアオベエにぶつかり、彼もまたバランスを崩し、花瓶の飾りつけをしていたアカネと衝突。はずみで花瓶は床に落ち、割れてしまったのだった。

その後、屋敷の使用人デンボが部屋に入ると、割れている花瓶を発見。すぐに月光町警察へ通報をした。現場に到着したのは、もじゃもじゃ頭の刑事「おじゃるンボ」だ。残された手がかりから、徐々に事件の真相に迫っていくのであった……。

人物紹介(吹き替え声優)

共犯今回の犯人:アオベエ/アカネ/キスケ

声優:一条和矢(いちじょう かずや)

南央美(みなみ おみ)

うえだゆうじ

職業:執事/メイド頭/執事見習い

動機・方法:過失

概要:詳しく見る
概要:月光町にある屋敷で働く3人トリオ。奇しくも、「おじゃる丸」というアニメに登場する小鬼トリオと同一の名前ではある。その点を、おじゃるンボ刑事に「どこかで聞いたようなー。9年ぐらい付き合っているような」と突っ込まれるが、本人たちは否定している。

応接間の掃除担当は彼らが担当をしており、日々丁寧な掃除により埃などはない。事件の日は、柱時計を確認してみると、8時40分に掃除を行っていた。

事件をひた隠しにするつもりはなく、おじゃるンボ刑事が登場して捜査が始まると、早々に自白するつもりであった。屋敷の主人は不明ではあるが、正直に誤ればきっと許してくれると、使用人デンボは語る。おそらく、エンマ大王様であろう。


今回の捜査担当:おじゃるンボ

声優:西村ちなみ

職業:刑事

概要:詳しく見る
概要:月光町警察に勤務する階級は刑事。もじゃもじゃのパーマ頭、茶褐色のコート、尺をつまむように持つ仕草、「うしゃしゃっしゃ・しゃー」と笑う姿が印象的である。屋敷の使用人デンボの通報を受け現場に到着した。デンボによると「あの有名なおじゃるンボ刑事が」と語っており、どのような点で有名なのかは不明である。悪い意味、良い意味?

カズマという名前の人物と同棲をしているようであるが、本編には登場しない。ことあるごとにおじゃるンボは「ウチのカズマがね……」と口にする。セリフをまとめると、「カズマがいつもおじゃるンボを起こす」「応接間のある豪華な屋敷に住みたい。そこに石のコレクションを飾りたい」「自宅のソファーは煎餅ソファー」「早く帰らないと怒る」とのこと。

おじゃるンボ刑事に関しては、掃除が苦手ならしく、自分の部屋は大掃除をする必要があるようだ。また、刑事としての給料は低いらしい。

犯行計画

【花瓶を誤って割ってしまう】

①子鬼トリオは割ったことを黙認し、生けていた花を回収する。(午前)

②デンボが応接間に入ると、花瓶が割れているのを発見した。(昼)

推理と捜査

推理と捜査
○デンボによると、花瓶は朝見た時には大丈夫だった。昼に応接間に入ってみると、割れている状態だった。朝から昼の間が犯行時刻だ。

○部屋の掃除担当は子鬼トリオだ。部屋を調べてみても、埃ひとつないぐらいに丁寧に清掃されていた。彼らは今日も掃除をしたようだ。

○現場に落ちていた花瓶には花が生けていなかった。しかし、花瓶の破片がある床は濡れている状態だった。部屋の中には花はなく、いったいどこにいったのか?

どのように決着をつけたのか
○おじゃるンボは、犯人が分かったと話す。花瓶に水が入っていた以上、花を生けていたはずだ。しかし、部屋には花がなかった。では、いったいどこに花はあったのか?おじゃるンボは、小鬼トリオに尺を向けた。花を隠したのではなく、服の装飾や頭飾りにしていたのだった。

それを聞き、小鬼トリオは花瓶を割ったことを自白した。「花もかわいそうだと」、そういった思いからアクセサリーのように身に着けたのだった。そして、屋敷の主人に花瓶を割ったことを正直に話し、謝罪をすることを誓った。

おじゃるンボ「あやまちは誰にでもあること。正直に謝ることが大事なんです。いやー、そのことがわかってもらえてよかった~来たかいがありました」。そうは言った彼だが、うっかりと応接間の天使のオブジェにぶつかってしまう。床に落ち粉々になった偶像……、一目散に逃げだしたのだった。

起承転結

※通常は三幕構成でまとめているのですが、本編時間が短く分断できませんでした。そのため、起床転結でまとめております。

考察

デンボについて:詳しく見る

デンボは失恋したといい、昼頃に応接間に入った。前向きな気持ちになろうとしていた所、割れた花瓶を発見したのだ。このことから、仕事をほっぽり出して外に行っていたと考えられる。余談ではあるが、「梅干しの種に誓った愛の言葉」との台詞があるが、過去作品において、おにぎりを作るのが得意な彼は一目惚れした女性の蛍へおにぎりを送る話があった。

小鬼トリオはすでに花瓶を割ったことを話すつもりだったと証言しています。しかし、事件が大事になってしまい、言おうにも言えない状況になってしまいました。まず、午前中に花瓶を割ってしまった彼らは、屋敷にいる主人に謝罪をしようと考えましたが、ただ主人は不在です。そのため、直属の上司にあたる伝書ボタルのデンボに報告しようと行動に移したのではないでしょうか?

しかし、デンボは午前に失恋をしたと話しております。つまり、おそらく屋敷にはいない状況にあったのです。午前中~昼の間、小鬼トリオは誰にも相談ができる状況におかれておりました。そして、失恋したデンボが応接間に入ると、割れた花瓶を発見しました。ここで、デンボは警察に通報をしてしまいました。こうなってくると、動転して言い出しにくかったのではないでしょうか?

つまり、デンボは仕事をさぼって女に会いに行っていました。デンボ真犯人といっても過言でないでしょう。

まとめ

倒叙作品なのですが、犯人の行動全ては描写がされておりません。犯人が分かった状態ではありますが、どうやって、おじゃるンボ刑事が犯人だと確信するのか?動かぬ証拠の提示が見事でした。

おじゃるンボ刑事がどうでもいい話をしているのですが、動作を見てみると、机の上に埃はないかと、少しばかり指を動かしていたり、さりげない仕草が上手かったです。

また、すでに冒頭から証拠が提示されていたのは気が付きませんでした。私も後半になり、刑事が指摘するまでは違和感を感じていませんでした。アニメーションというか、映像での倒叙作品の、大胆な証拠の隠し方だと感心しました。

この作品は、「マロのゆかいなせかい」に収録されています。「刑事おじゃるンボー危しっ!ー」という続編があるようなのですが、そちらはDVDでの発売はされておりません。再放送を見逃さないようにするしかないようです……。

以上、「刑事おじゃるンボ」でした。