【VS.双子の兄弟】犯人が最初から分かっている状態で進むのが「倒叙形式」です。しかし、このエピソードは途中で倒叙からミステリーに変貌を遂げます。双子の兄弟のどちらが殺人を犯したのかに焦点が当たるんですね。シーズン2の最終作品、倒叙で犯人当てという遊び心の詰まった作品です。
データ
あらすじ
老いた資産家クリフォード・パリスは、若い娘リサ・チェンバースと婚約が決まった。料理研究家の甥デクスター・パリスは、結婚祝うため屋敷へと立ち寄り後にした。トレーニングを終えたパリスは風呂に入り汗を流していると、帰宅したはずのデクスターが現れて驚く。
彼はプレゼントを渡し忘れたと、電動ミキサーを取り出しプラグを差し込む。浴槽に投げ込んでパリスを感電死させたのだった。しばらくしてリサが、トレーニングルームでエアバイクを漕ぎパリスが死んでいることを発見する。
当初はトレーニング中の心臓麻痺かと思われたが、コロンボの捜査により殺人の可能性が見られた。遺産を相続するデクスターに捜査の目を向けようとするが、屋敷に現れたのは一覧双生児で、まったく同じ外見をした銀行員の兄ノーマン・パリスだった。
人物紹介(キャスト/吹き替え声優)
今回の犯人?:デクスター・パリス(マーティン・ランドー)
吹き替え声優:滝田祐介(たきた ゆうすけ)
職業:料理研究家
今回の犯人?:ノーマン・パリス(マーティン・ランドー)
吹き替え声優:滝田祐介(たきた ゆうすけ)
職業:銀行員
今回の被害者:クリフォード・パリス(ポール・スチュワート)
吹き替え声優:杉田俊也(すぎた としや)
職業:資産家
死因:感電死(入浴中に家電製品を投げ込まれる)
今回の被害者:リサ・チェンバース(ジュリー・ニューマー)
吹き替え声優:清水良英(しみず よしえ)
職業:?
死因:転落死
小ネタ・補足
〇コロンボ警部とデクスター・パリスが料理番組を行う場面(34分~40分15秒)は、『刑事コロンボの秘密』P.150によると、台本なしの即興アドリブだったようである。非常にユーモラスなやり取りになっており、本エピソードの欠かすことができない見どころのひとつである。
〇56分12秒で、兄ノーマン・パリスの衣装が、次のカットには変わっている。エピソードを最後まで観ると伝わる伏線である。
〇リサ・チェンバース演じる『ジュリー・ニューマー』氏が、レオタードにパンストで運動をする場面がある。本人はアメリカで、「たるんだヒップの形を整えるバンド付のパンティーストッキング」を特許取得しているらしく、それにちなんで身に着けたのだろうか?
まとめ
犯人が分かる状態で進む『倒叙形式』で進むのですが、なんと途中で同じ顔をもつ双子の兄が登場してしまうのです! 双子の兄弟のどちらが犯行に及んだのか、一気にミステリー形式に様変わりするユニークなエピソードなんですね。マーティン・ランドー演じる双子の兄弟が、うまく2人映らないカメラワークも見どころです。
2週目を見てみると兄弟の言葉などから、どちらが計画を立てて殺人を実行したのか、一目瞭然なのも面白いですね。前情報なしで犯人がわかったら、あなたも名探偵! ただ、後半に進むにつれ消去法的に犯人が絞られてしまいます。登場人物の割に殺し過ぎたのだ……。
最後のペック夫人の言葉、「二人ともいい子ですよ」は胸にきます。その後のコロンボ警部の言葉は、ペック夫人に被せるように言うため悲しさが引き立ちました。タイトルの『二つの顔』は双子であることを示してもいますが、同時に二面性をもっているということでも言い表せられる悲しい締め方でした。
以上、17話「二つの顔」でした。