刑事コロンボ 第19話『別れのワイン』全生涯をワインに捧げた男の犯罪

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「別れのワイン」より引用】

【VS.ワイン製造会社の経営者】ドラマ性の高い作品で、ファンによる投票でも1位を獲得したエピソードです。殺人を犯すに至った「人生」を理解し、共感し得る犯人像があります。いかに被害者に同情をさせないストーリー展開にするかが上手い脚本なのです。

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ココが見どころ‼

〇ちびまる子ちゃんにも「別れのワイン」の話は出てくる。→第10巻「プロ野球開幕!!の巻き」ラスト10分の詰め手で、まる子の父・ひろしに野球中継にチャンネルを変えられてしまう。後日、学級委員の丸尾くんに結末を教えてもらう。

〇27:20~コロンボと警官のかみ合わない吹き替え版の会話。→「火、つけましょうか?」「いいんだよ節煙してるから……マッチ持ってる?」「(探す動作はするものの)いいえ持ってません」実際は鉛筆を持ってる?と聞いてます。

〇犯人の殺人に共感し得るエピソード。でもよく考えると犯人は相当ひどい男。

〇57:10~「違うな(ワインの)全てを知っているよ」ワインショップのおじさんの返しが超カッコいい。エイドリアン・カッシーニと互角の実力者か?

データ

データ:詳しく見る
脚本:スタンリー・ラルフ・ロス

原案:ラリー・コーエン

監督:レオ・ペン

制作:ロバート・F・オニール

ストーリー監修:ジャクスン・ギリス

音楽:ディック・デ・ベネディクティス

本編時間:95分

公開日:アメリカ/1973年10月7日 日本/1974年6月29日

あらすじ+人物相関図

ワイン製造会社の経営者エイドリアン・カッシーニは、会社の一室でワイン協会の有力者3人をワインでもてなしていた。エイドリアンが秘蔵のワインを取りに社長室へ戻ると、そこには腹違いの弟でワイン製造会社のオーナーでもあるリック・カッシーニがいた。

彼は4度目の結婚をするために、結婚資金を借りにきていたのだ。会社は弟が引き継ぎ、経営は兄に任せていた。しかし、エイドリアンの儲け度外視なワイン造りや、会社の経費で高価なビンテージワインを収集しているため、経営は右肩下がりであった。

リックはワイナリーを大量生産の大手酒造メーカーに売却すると伝える。ワイン造りに人生を捧げてきたエイドリアンにとってそれは由々しき事態であった。激怒したエイドリアンは近くにあった電話機を掴むと、リックを殴りつけ気絶させる。

協会員や秘書が帰った後、手足を縛ったリックをワインセラーの中に入れ、エアコンを切る。次の日エイドリアンはニューヨークでのワイン品評会に1週間滞在すると、その間リックは窒息死する。帰国すると、リックの遺体をスキューバダイビングの衣装に着替えさせ海に遺棄した。スキューバダイビング中に頭を打ち付け気絶。そのまま溺死した事故に偽装したのだった。

人物紹介

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「別れのワイン」より引用】

今回の犯人:エイドリアン・カッシーニドナルド・プレザンス

吹き替え声優:中村俊一(なかむら しゅんいち)

追加吹き替え:塚田正昭(つかだ まさあき)

職業:ワイン製造会社経営者

殺害方法:窒息死(ワインセラーに入れ空調を切る)

動機:ワイナリーを売却すると言われたから

概要:詳しく見る
概要:ワイン酒造「カッシーニ・ワイナリー」の経営者。父はイタリア人、母はイギリス人で名門の血を残したと語っている。父の遺産として、彼はもともとは現金を引き継いでいる。それを全てビンテージワインの収集に使い切ってしまうなど浪費癖がある。しかし、趣味となると人は盲目的に金を使い、後悔しないのである。

会社を引き継いだ弟から任せられて、25年間会社の経営をしている。まさに、趣味が仕事になったのである。しかし、儲け度外視の経営。会社の経費で1本5000ドルのビンテージワインを買うなどやりたい放題である。しかし、その情熱はワイン協会にも認められて、”今年の人”に選出されることが決まった。ここから業績は黒字に転化していただろうか?

製造しているワインは6種類で赤は3種類、白は3種類。その赤の中で、バーガンディーは「ピノ・ノワール」「ギャメイ」。クラネットの「カベルネ・ソーヴィニョン」である。シャンパンは嫌いであり製造はしていない。

私の人生はワインあるのみ」と語るように、ビンテージワインを収集する目的は他のだれにも渡したくないことから。また、毎日14:30にワインをガラス容器(デカンター)に移し替え、空気の入れ替えを行っている。誰にもこの作業は任せたことはないと証言し、このことはコロンボに疑問を抱かせることにも繋がってしまった。

ワインに対しての味覚はすさまじく、酸化したワインの味の変化を当てて見せる。このことは世界に数人しかいないという。ニューヨーク行の航空機の中でワインを飲んだ際、「不味い!」というような表情は見逃してはいけない。人1倍温度変化に気をつけている彼が、殺人を犯すためにワインセラーのエアコンを切ってしまったことは残念でならない。

エイドリアンに恋心を抱いていたカレン・フィールディングに事件の真相を掴まれて、結婚を迫られる。コロンボに罪を自供した際には、「結婚するより刑務所の方が自由かも知れませんな」と言った。独身貴族を謳歌したのである

「生涯を通じて真に愛したのは、(ワイナリー)ここだけだった」彼はそういうと、コロンボとの別れのワインを飲んだのである。最後に飲んだワインは”モンテフィアスコーネ”である。彼は「最高のデザートワイン」と言ったが、実際は相当な辛口ワインである。

※酸化を言い当てたワインは「フェリエ・ヴィンテージ・ポルト45年物」。目を輝かせ、水で口直しして楽しみにしていた分、酸化して味が落ちた反動は大きかったようだ。そのワインを臭い水とまで罵った。

※1973年10月:1ドル=266円 5000ドル=133万円
※ニューヨークで1万8千ドルをワイン購入に使ったようで、計2万3千ドル=611万8千円


【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「別れのワイン」より引用】

今回の被害者:リック・カッシーニ(ゲイリー・コンウェイ)

吹き替え声優:加茂喜久(かも よしひさ)

職業:ワイン製造会社オーナー

概要:詳しく見る
概要:4度目の結婚を控える「カッシーニ・ワイナリー」のオーナー。父はエイドリアンと同じだが母は違う。エイドリアン曰く、「お前にどん欲な性質を残すことに功績を残した」と話している。どちらかといえば、兄のエイドリアンもどん欲ではないだろうか?

父の遺産として、兄は現金。リックはワイナリーを受け継いだ。しかし、リックはまったく経営には興味がなく、少しは金になるのではと考えて兄に経営を任せた様子。父の考えとしては、遊び惚けているリックに現金を渡してしまうと一瞬で使い切ってしまいそうで、しっかりとした立場の職を与えて自立して欲しかったのではないだろうか?

テレビ番組の報道によると、名の知れたスポーツマンでありプレイボーイ。「アマチュアのレーサーで多くのレースに勝ちトロフィーを得た。プロへの転向は拒否し、スポーツは金より楽しみのはず」とコメントが流れた。ボートレース/スカイダイビング/スキューバダイビングと楽しんでいた。

スポーツに関しては無欲か表向きのコメントである。結婚資金を借りに兄に言った台詞は「俺は高級な酒より現ナマ(現金)が欲しいんだ」である。よりにもよって、1リットル69セントという安酒を製造している「マリノ酒造」に会社を身売りする算段をし、エイドリアンに逆上されてしまった。

兄には結婚資金を送る資金はあった。実際アリバイ工作のためだが、5000ドルの結婚祝い金を小切手で送っている。エイドリアンのワインに対してのプライドを傷つけてしまったことが、殺害される要因でもあったのだ。

スポーツをしており体力を消費するため、かなりの大飯食いだった様子。婚約者の話によると、嫌いな物は芽キャベツであり、それ以外なら何でも食べたとのこと。

犯行計画

電話機が頭部に当たり気絶したリック・カッシーニを縛り上げワインセラーに入れる。空調を切ることで、ニューヨークへの旅行中には窒息死する。帰国後に彼の車で海岸まで行き、趣味のスキューバダイビング中に頭部をぶつけ気絶し、そのまま窒息死した事故死に偽装する。

①リック・カッシーニを置物で殴り気絶させる。社内に人がいなくなると自室のワインセラーに運ぶ。手足を縛りエアコンの空調を切る。

②リックの車を車庫に入れる。自分の車で空港まで移動。ニューヨークで1週間過ごす。

③帰国後にリックの死亡を確認する。スキューバダイビングの衣装に着替えさせる。彼の車で海に向かうと遺体を海に遺棄する。ダイビングの際に頭を打ち付けて気絶、そのまま酸素切れで窒息したように偽装した。

④車に積んでいた折り畳み自転車で戻る。

コロンボの疑問点

ネタバレ注意!
〇エイドリアンは、誰にも任せたことはないと言っていた、ガラスの容器にワインを移し替える作業を、ワイン協会の1人に任せていた。(犯行直後であり手が震えていた)

〇リックの死亡推定時刻(スキューバダイビングをしていたとされる)、先週の火曜日は雨である。リックは車を大事にしていた。どうして雨を避ける布を掛けて置かなかったのか?そもそも雨天にスキューバダイビングをするものなのか。

〇車は1週間は野ざらしになっていたことになるのだが、雨染みがなかった。また誰からも発見されていなかった。

〇検死解剖の結果、リックは2日間何も食べていない。彼は大食いだったのに。

三幕構成

まとめ

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「別れのワイン」より引用】

コロンボはワインを勉強をしていき、最後には犯人も「よく勉強されましたな」と、コロンボを認める。最後にワインを通してエイドリアン・カッシーニは最高の友人を得て、すぐに別れを告げる。その縮図がラストの車内でワインを酌み交わすシーンに濃縮されています。

いかに被害者に同情させないような脚本構成、演出の運びにするかこれが見事です。犯人のワインに対する情熱、その大切なワインを殺人を犯してダメにしてしまい、ワインを叩き割るシーンが悲壮感を上げています。
それにしても、40年かけてワインの道を極めたワインショップのおじさん。エイドリアンが言う、「酸化したワインの味を当てらてるのは、わたしのほか世界に数人しかいない……」その中に含まれているのかが気になります。

以上、19話「別れのワイン」でした。

  1.  はじめまして。というか実は『仮面の男』のラストについてごちゃごちゃ書き込ませていただいた者です。丁寧なレスありがとうございます!
     他の記事も読ませていただいたら、面白くてためになる記事がいっぱいなので、通りすがりの匿名でなくペンネームを使わせていただこうと思いました。H君というのは子供の頃からのコロンボファンで、私にコロンボの面白さを教えてくれた人です。
     私も実はコロンボで初めて倒叙型ミステリというものを知り、犯人の上をいくトリックを使って、鉄壁の守りのどこに穴を開けていくかという面白さにはまりました。よろしくお願いします。
     コロンボの原題はことわざのもじりとか、二重の意味が隠されているとか、味わい深いものが多いと思います。この『別れのワイン』も座布団一枚!と叫びたくなる題です。原題は Any Old Port in a Storm ですが、Old を取った Any Port in a Storm は、「どんな(小さい、またはボロな)港でも嵐の際には(安全地帯)」つまり「急場しのぎ」「苦肉の策」という意味らしいです。そこに Old が入ると、英語国民は「ん? 慣用句とちょっと違うけど・・・嵐の際にはどんなに老朽化した港でも??」と思いながらドラマを見始めて、ラストに至って「港」の意味が変わって「嵐にあったらたとえどんな年代物のポートワインでも」・・・台無しになっちゃうっていう意味だったのか!しかも「苦肉の策」が招いた結果!と気づく仕掛けになっているようです。

    • ≫私も実はコロンボで初めて倒叙型ミステリというものを知り、犯人の上をいくトリックを使って、鉄壁の守りのどこに穴を開けていくかという面白さにはまりました。
       ※Hさんと共に長年のファンなのですね!私は2017年のBSで再放送していた、『5時30分の目撃者』『ビデオテープの証言』で刑事コロンボを初めて見まして、その面白さにのめり込みました。まとめブログのようなものを立ち上げましたが、まだまだニワカファンの勉強中です。記事も加筆修正していきます。

      ≫コロンボの原題はことわざのもじりとか、二重の意味が隠されているとか、味わい深いものが多いと思います。
       ※【Any Old Port in a Storm Port】で(港/「ポート」ワイン)で二重に掛かり、うまくミスリードさせたタイトルなんですね。先に全編を日本語訳のタイトルで見ました。後になってから原題を調べると、お洒落だったりユーモラスなタイトルばかりで、日本語タイトルとは大胆に変えたものも多くびっくりとしました!