刑事コロンボ 第27話「逆転の構図」写真家としてのプライドが大失態。

【VS.写真家】おおよそ抜かりのない完全犯罪です。コロンボ以外の刑事も登場しますが、口をそろえて利用され殺害された人物が犯人と決めつけてしまいます。コロンボ警部以外では犯人を逮捕できなかったでしょう。

犯人は写真家ポール・ガレスコ。悪妻である妻に対しての不満がたまり殺害計画をくわだてます。肉を切らせて骨を断つ。妻を殺害した彼は、アリバイ工作に利用した男をも殺害。自身の太ももを銃で打ち抜き、誘拐犯人と対峙したための正当防衛で犯人を射殺という筋書き完成させて、妻を殺害された悲劇の夫を演じます。

スポンサーリンク

ココが見どころ‼

〇悪妻と結婚して15年。ポールの苦悩は離婚では収まらない増悪。

〇コロンボの相方となるホフマン刑事。珍しい警察署内での会話があるエピソード。

〇コロンボの見事な変装?救済施設のシスターもだまされたと語るコロンボの着こなし術。なお、シスターは39話「黄金のバックル」の犯人として登場。

〇コロンボはコートを7年愛用している。(37サイズのSを着用)

データ

データ:詳しく見る
脚本・ストーリー監修:ピーター・S・フィッシャー

監督:アルフ・チェリン

制作:エヴァレット・チェンバース

制作総指揮:ローランド・キビ―&ディーン・ハーグローヴ

音楽:バーナード・セイガル

本編時間:95分

公開日:アメリカ/1974年10月6日 日本/1975年12月20日

あらすじ+人物相関図

高名な写真家ポール・ガレスコには、15年連れ添った妻フランシス・ガレスコがいた。彼女は支配欲が強く、独善的でわがままであり、ポールはいいように使われている。そんな妻に対して、殺意を芽生えていたポールはとうとう殺人を実行する日がやってくる。

かつて刑務所の撮影で知り合った、前科者であるアルヴィン・ダシュラーにポールは金を渡し、自分の仕事を手伝わせた。ダシュラーにポラロイドカメラを購入させて、別荘として購入する農家を探させる。

ポールはアルヴィン名義で購入させた農家にフランシスを連れ出すと、彼女を縛り上げる。暖炉の上に時刻をすらした時計を置き、ダシュラーの部屋から盗み出していたポラロイドカメラで彼女を撮影する。そして彼女を射殺すると、再び時計の針を元に戻した。

翌朝10時、ポールに指示された時刻で電話を掛けるアルヴィンと誘拐犯からの電話のようなやりとりを、メイドに見せる。アルヴィンは疑問に思いながらも、指定の時刻に廃車場に向かう。ポールは彼が出発した後、モーテルの部屋に侵入する。脅迫文書を作った道具と、ポラロイドカメラを置いた。

その後、ポールは待ち合わせ場所である廃車場でアルヴィンと合流。アルヴィンに妻が誘拐されたと、脅迫文書を手渡す。これでアルヴィンの指紋が付いた。口封じのため彼を射殺すると、自分の太ももにも銃を発砲する。誘拐犯人から銃を撃たれ、正当防衛で射殺したシナリオが完成したのだ。

人物紹介

今回の犯人:ポール・ガレスコディック・ヴァン・ダイク

吹き替え声優:新田昌玄(にった しょうげん)

職業:写真家

殺害方法:①、②射殺

動機:①不満が募っていたから ②罪を擦り付けるため

概要:詳しく見る
概要:ピューリッツァー賞に2度も輝いた高名な写真家。ピューリッツァー賞は「報道部門」「文学芸能部門」「音楽部門」とわかれており、その3つの部門から、さらに21分野に細分される。写真家の彼は、報道部門(特集写真・ニュース速報写真)で受賞した可能性がある。

妻フランシスとは結婚して15年になる。だが、妻は口やかましく、支配欲ばかりで、人生の楽しみを奪われてしまうほどの悪妻である。殺意が沸きはじめたのが3年前から。毎晩、「奥さんが亡くなりました」という夢を見るという。

しかし、喜んで起きるも死亡しておらず、涙を流すこともあるというほど精神的に追い詰められている。夢のお告げか、殺害しなければ収まらないほどの憎悪だったのか、離婚はせずに妻の殺害計画を実行することを決意した。

写真家としてのプライドか?脅迫文書に添える、妻の縛り上げられた写真を撮る際には2回も撮り直しをしている。その写真を持ち帰らずに丸めて捨ててしまったのが運の尽き、決定的な証拠へと繋がってしまう。

ちなみに、「3年間くだらないポートレート(肖像画)を撮った」と語っており、丁度妻への殺意が芽生えたのも3年前である。妻への資金稼ぎのために、やりたくもない仕事依頼を受け付けていたのだろうか?この点でもストレスが溜まっていたのかもしれない。

アルヴィン・ダシュラーとは刑務所の撮影で出会っており、撮影のために7週間、囚人たちと共に暮らしたそうである。その刑務所での生活を映し出した、計522枚からなる写真集は1部25ドルで販売していた。1974年10月1ドル=299円 25ドル=7475円

助手であるローラ・マグクラスに好意があり、彼女もまたポールの気持ちに寄り添う形でその好意に答えようとしている。事件が落ち着いたら、フィリピンに行く予定であった。
(ドラマだとカットされているが、小説版では妻の弟が撮った写真を使い入賞をした。そのため妻には頭が上がらなかったという設定がある。そのため、離婚はできなかったのである。)


今回の被害者:フランシス・ガレスコ(アントワネット・バウワー)

吹き替え声優:阿部寿美子(あべ すみこ)

職業:ポールの妻

概要:詳しく見る
概要:ポール・ガレスコと結婚して15年になる妻。誘拐されたように偽装され、夫に殺害されてしまった人物。夫であるポール曰く、「口やかましく、支配欲ばかりで人生の楽しみを奪う」と語る。

家政婦本人に言っていないようだが、掃除の仕方もしっかりするようにポールに注意していた。ポールの助手であるローラ・マグクラスからもフランシスの当たりの強さは非難されている。

殺害される当日にはリレビーの慈善バザーに行くつもりだったらしく、狙いはお茶のセットだった。また、夜にはオーケストラに行くと、前々からドレスを買っていた様子。ここ数日、胃の具合が悪かったと言っていたようで、ヨーグルトとハチミツを家政婦が気を利かせて購入してきていた。


今回の被害者:アルヴィン・ダシュラー(ドン・ゴードン)

吹き替え声優:野島昭生(のじま あきお)

職業:前科者

概要:詳しく見る
概要:金品強奪の罪でサンクエンティン刑務所に5年間収容され、ここ3週間で出所した人物。新聞の記事によると1匹狼で犯行をしており、恐喝の罪で掴まったこともある様子。ポール・ガレスコに利用され、誘拐犯に仕立て上げられてあげく殺害されてしまう。

ポール・ガレスコとは刑務所での撮影で出会い、刑務所での生活を撮った計522枚の写真の内、9枚は彼の写真であった。出所してからは、ポールから別荘を買いたいという名目で、ポラロイドカメラの購入、農場付きの農家をアルヴィン名義で購入している。

出所してからの生活費は全てポールが支出している。モーテルの料金、タクシー代金など、レシートを渡して現金払いで返してくれた様子。それを利用してか、ポラロイドカメラは20ドルであったが、店員に話してレシートを100ドルにしてもらう。その謝礼に店員に10ドルチップとして渡した。計70ドルの儲けである。1974年10月1ドル=299円 70ドル=2万930円

ポールの頼みである別荘(農家)を購入するまでに、不動産会社のマグルーダさんと共に30~40件物件を巡っている。根っからの町っ子であるようだと、マグルーダは語る。運転免許は午前中の試験で1発合格しており、教官からも「良いドライバーだ。理想的でしたよ」と評価されている。

犯行計画

①アルヴィン・ダシュラ―にカメラと農家を購入させる。

②ポール・ガレスコはアルヴィンが宿泊しているモーテルからカメラを盗み出す。

③ポールは農屋に妻フランシス・ガレスコを下見と称して連れだす。そこで妻をロープで縛り、時間をずらした時計(14時)が見えるようにカメラで妻を撮影する。射殺後に時計の時間を戻す。

④アルヴィンと合流。廃車場で会う時刻を決める為に、明日10時に自宅へ電話を掛けるように促す。

⑤翌10時に、ポールは自宅で家政婦に聞こえるように、アルヴィンと電話でやり取りをする。17時に(廃車場)会う約束をし電話を切る。その後誘拐されたような嘘のやり取りを演じる。メモに身代金の金額を書き残す。

⑥アルヴィンが廃車場に出発するのを見て、彼が宿泊するモーテルの部屋に侵入。脅迫文書を作成した道具と、カメラを置く。

⑦少し遅れて廃車場でアルヴィンと合流。アルヴィンに脅迫文書を渡すことで指紋をつける。その後、彼を射殺。

⑧自分の太ももに銃を発射。アルヴィンが誘拐犯人であり、正当防衛で殺害したシナリオを完成させた。

コロンボの疑問点

ネタバレ注意!
○ポールは妻の行方はまだ知らない。どうしてすぐに射殺してしまったんだろう。普通なら夫人の居場所をたしかめようとするはずである。

○アルヴィンが廃車場で射殺されたとき近くで酔っ払いが銃声を聞いていた。2発の銃声の間にやや時間があり、遠距離で撃った人物と至近距離で撃った人物がいる。本当に正当防衛だったのか?

○アルヴィンは刑務所から出所したて。それなのにモーテルを借りたり、タクシーを使って移動していた。また、いい仕事の心当たりがあると言っていた。

○事件当日、ポールは17時にアルヴィンと身代金の受け渡し場所になっている廃車場で会うことになっていた。しかしポールは17:30ごろに会った。妻が誘拐されているのに、なぜ時間通りに現場に行かなかったのか?

○ポールはアルヴィンに会う前に電話ボックスから連絡するように言われたため時間に遅れたと言ったが、その電話ボックスの場所は詳しく覚えていない。

○ポールは自宅で、アルヴィンから誘拐の電話をうけたとき、身代金の金額はメモしたが、指定された電話ボックスの場所はメモしていなかった。慌てるような状況で自分の記憶は信じられないはず。

○アルヴィンは事件当日の午前に運転免許の試験を受けて合格。レンタカーを借りていた。もし試験に落ちたりすれば計画はどうするつもりだったのか?あまりにも無謀な計画である。

○農場の家屋に捨てられていた写真は、写真家のポールに言わせると構図が悪かったという。取り直したということは犯人には構図が気に入らないカメラの腕があった。また、わざわざ構図なんて気にする必要があったのか?

○ポールの写真集にアルヴィンが撮られた写真が9枚あった。ポールはアルヴィンのことを知っているのではないか?

○アルヴィンが宿泊していたモーテルの部屋に、脅迫状をつくったときの新聞の紙くずや切れっ端がまったくなかった。実際に脅迫文を作ってみたら大量の切りくずが出る。

三幕構成

まとめ

倒叙の魅力である犯人の心理表現が見事な作品だと感じます。当初は完璧な計画であり余裕であったポール・ガレスコ。そんな彼に、コロンボ警部は徐々に詰め寄っていきます。決定的な証拠はでていませんが、ぎりぎり踏ん張っている状況。

苦し紛れにポールは嘘を言いますが、それも覆されてしまう。コロンボは「詰め手」をたくさん持っているのですが、小出しにだして精神的に追い詰めていく手法が見事です。なによりも最後のシーンはまさに”逆転”。「あなたも、目撃しましたよね?」

※80:00~コロンボ警部が自動車教習所の教官と会話で、「シートベルトはどこです?法令で決まっているんです」というセリフがあります。日本においては、1970年年代に製造されたシートベルトがない車は、問題なく走行可能であり違法ではありません。SMAPの草薙剛さんがレトロカーに乗っており、依然見た番組のテロップでこのことを知りました。

以上、27話「逆転の構図」でした。

  1. この話、ノベライズはバージョン違いがあるんですよね。
    コロンボが最後に「なんで離婚しなかったんですか?」と聞いたら、
    名を挙げた写真がフランシスの甥が写したもので、それを使ってしまったことが強請の種になったと言うのですが、
    その甥が世界に撮影に行って行方不明になったバージョンと、
    伯母が殺されたことを知った甥がコロンボに電話をかけて「ポールがやったに決まっている!」と情報提供にくるのとの二つありました。

  2. ≫てんてけ さん
    1976年発刊:サラブレッド・ブックス版は所有しているのですが、甥が電話を掛けてくるver.でした。
    1994年発刊:二見書房版では「死のポートレート」という名前で発刊をしており、そちらが甥が行方不明になった改訂版になるんですね。読み比べをしていきたいと思います。
    情報提供、ありがとうございます!