【VS.外交官】普段とは違った雰囲気のエピソードです。ロサンゼルスでの事件とはなっていますが、領事館内での殺人。アラブ風の衣装がどこか違う国で起こった話のように感じます。犯人は外交官であり、「治外法権」により逮捕が困難になります。
領事館内に限って「別の国」という権利で、アメリカの法律が適用されないのです。これをかいくぐるには、国際問題になってしまいかねない。どうやってこの壁を乗り越えるのかが、今作品の焦点となります。
データ
脚本:ルー・ショウ
原案:ジェームス・メンティス
監督:テッド・ポスト
制作:エヴァレット・チェンバース
ストーリー監修:ピーター・S・フィッシャー
音楽:バーナード・セイガル
本編時間:74分
公開日:アメリカ/1975年10月12日 日本/1976年12月25日
あらすじ
ロサンゼルスにあるスアリ国領事館の総領事代理ハッサン・サラーは、領事館職員ロッホマン・ハビーブと共に、警備隊長ユセフ・アラファを殺害すると、過激派の犯行に思わせるために金庫から機密書類を抜き出して燃やした。
スアリ国王陛下の来訪があるため、警備に関する会議に出席するため、ハッサンはロス警察本部に出向くと、ロッホマンは警備隊長を装い電話を掛けた。この時間には警備隊長は生きていたというアリバイを完成させる。その後、金庫を爆発させて侵入者が入ったように偽装すると車で逃走した。
領事館内で起こった殺人事件はコロンボ警部が担当することになり、現場を検証していくと内部犯の犯行だと確信する。ロッホマンに捜査の目が向くと、ハッサンは彼を事故死に見せかけて殺害。罪を擦り付けたのだった。
人物紹介(キャスト/吹き替え声優)
今回の犯人:ハッサン・サラー
概要:ヘクター・エリゾンド
吹き替え声優:井上考雄
概要:ロサンゼルスにあるスワリ国大使館職員の男性。『アーマド・カマル』国王が、古来の伝統を捨て西洋寄りの考えになっていることに対して不信感が生まれる。自国での革命活動の一環として、領事館内で警備隊長ユセフ・アラファをクーデターに巻き込まれたように見せ殺害。そのうえで、共謀した領事館職員ロッホマン・ハビーブをも殺害し口を封じた。
役職の正式名称は『中東国家スワリ国在ロサンゼルス領事館領事代理』である。王族の血を引いており、アラブ風の衣装に身を包んでいる。新しく即位したアーマド・カマル国王は西洋寄り考えであり、自国が諸外国の風土に染まることに不快感があった。
保守的な考え方をしており、そのことをカマル国王から問われた際には、「陛下のお父上からの伝統的なやり方をしているだけです」と語っている。国王の父親のことは尊敬していたのだろうか? 言い換えれば、伝統がある自国への愛が溢れていたのであろう。
総領事代理という役職についており、領事館内の全ての業務を担っている。銃を保管する管理室や金庫の番号、美術品の手入れなどなど……。業務全般を担当しているといっても、その仕事を専門にしている人間のことまでは詳しくはなく、このことで殺害計画に穴が発生した。
今回の殺人計画は自国でのクーデター活動の一環とされているが、言及は避け「我が国には勢力争いがあってね」というセリフのみにとどまっている。
今回の被害者:ユセフ・アラファ
役者:アンドレ・ローレンス
吹き替え声優:木原正二郎
概要:領事館の警備隊長である男性。15年間勤務しており、領事館の女性職員「クセーニャ・グラチョス」とは親交がある。彼女からプレゼントで貰った『釣り鐘型のマグカップ』を愛用しており、文字が入っているようだが、何と書かれているかは不明である。
毎日15時に休憩時間がある。クセーニャによると、15時きっかり時計で測ったように、先のマグカップにコーヒーを淹れにきていたようだ。
今回の共犯者で被害者:ロッホマン・ハビーブ
役者:サル・ミネオ
吹き替え声優:宗近晴見
概要:領事館職員の男性。暗号室勤務(文書の製造や情報の処理などを行うコンピューター関連の職務)で11年間働いている様子。「クセーニャ・グラチョス」とは同じ暗号室勤務だったようだ。ハッサン・サラーにそそのかされて殺人計画に加担すると、計画成功のあかつきには祖国で英雄として称えられると言われた。
クセーニャによると、よく食事を忘れるという。それほど仕事に熱中するのかも知れない。暗号室には電話などはなく、缶詰状態で仕事をすることも多いとのこと。普段はメガネを装着しているが、コンタクトレンズも3日前からつけるようになったらしい。
小ネタ・補足
〇56:04~数秒間、メガネのエキストラとしてデモに参加しているのは、無名時代の『ジェフ・ゴールドプラム』氏である。後にSF映画の金字塔「インデペンデンス・デイ」や「ジュラシックパーク」などで主演を務める。
〇舞台は、ロサンゼルスにあるスワリ国大使館とされる。スワリは中東国家にあるようである。なお、架空の国だ。
まとめ
動機がよくわからないまま進んでしまいます。最後にハッサンは動機を語りますが、「我が国には勢力争いがあってね」の一言だけなのです。おそらくクーデター活動の一環なのかと思います。
これは小説版によると今の国王を失脚させて、自分の王族に近い人物を国王に就任させる。そしてその国王も暗殺して、血の近い自分が国王の地位になれる!という計画であった。回りくどい‼
以上、33話「ハッサン・サラーの反逆」でした。
こんにちは。
コロンボのドラマ放映に合わせていつもこちらも読んでいます。
一カ所、
今回の共犯者で被害者②:ロッホマン・ハビーブの概要で、「普段はコンタクトレンズを装着しており、メガネは3日前からつけている。」は正しくは逆で、「普段はメガネを装着しており、コンタクトレンズは3日前からつけている。」ではないでしょうか。
ハッサン・サラーの「彼がコンタクトレンズをつけていたとは知らなかった」という台詞もあります。
仔猫様
修正点を教えていただきありがとうございます!文章等を書き直させていただきました。
たぶん、日本人好みのエピソードはコレなんじゃないかという気がします。
私はコロンボが権力者をどう下すかよりも、一国の王様にも臆することなく話しかけて信頼を勝ち取っている点がキーポイントに思えました。
≫日本人好みのエピソードはコレなんじゃないか
伝統を重んじる犯人と、時代に合わせ変化をさせていくスワリ国の国王。オチとしても実に爽快な展開ですよね。
≫コロンボが権力者をどう下すかよりも、一国の王様にも臆することなく話しかけて信頼を勝ち取っている
コロンボ警部のコミュニケーション能力の高さ、国王の柔軟な対応とお人柄が垣間見えます。国王もハッサンのことをあんまり信用してなかったのかも知れませんね。