古畑任三郎 12話『最後のあいさつ』古畑の上役が犯人

【VS.警視】「火事の時は119番。どうして最後が「9」なのかご存じですか。ダイヤル式の電話の場合、大きな数字の方がダイヤルが元に戻る時間が長い、それだけ心が落ち着くという事です。つまり、プッシュホンの時代にはほとんど意味ないんです」

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データ

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脚本:三谷幸喜

監督:関口静夫

制作:フジテレビ

演出:松田秀知

音楽:本間勇輔

本編時間:45分56秒

公開日:1994年6月29日

あらすじ+人物相関図

最後の挨拶 人物相関図警視庁警視・小暮音次郎は、孫娘を殺害したグループのリーダー・生原治が証拠不十分で無罪になったことを受け、自ら裁きを下す決意をする。麻薬ルートを知っていた小暮は、運び屋を装ってバイヤーに取引先と時間を指定したのだった。

取引先が見える安ホテルを借りると、麻薬のバイヤーが酒場に入っていくのを見たという偽のアリバイを作った。小暮は部下が、自分に内緒で張り込みに協力しているのに感付いており、犯行時刻に自分はバイヤーを見ずとも、部下が入ったことを証明し、張り込みのアリバイが完成するのだ。ホテルを抜け出した彼は、生原が来るのを待ち伏せし射殺した。

人物紹介

古畑任三郎 小暮音次郎

【©フジテレビビジョン『警部補 古畑任三郎「最後の挨拶」より引用』】

今回の犯人:小暮音次郎(こぐれ・おとじろう)

役者:菅原文太

職業:警察官

殺害方法:銃殺(32口径ブローニング)

動機:復讐

概要:詳しく見る
概要:警視庁警視の男性。2年6ヶ月前、生原浩がリーダーを務める不良グループに孫娘を殺されてしまう。しかし、裁判では証拠不十分として生原は無罪となった。法の代わりに、自らの手で裁きを下す決意をする。独自に掴んでいた麻薬ルートのバイヤーに、運び屋を装い電話を掛ける。バイターが来る時刻に合わせて生原を射殺。ホテルでの張り込みで、バイヤーを目撃したふりをしてアリバイを作り上げた。

間もなく定年を迎える年齢であり、警察署内での人望は厚い。部下の刑事たちは、「歳で心配だから」と、内緒で張り込みのフォローをしていた。これに気が付いていた小暮は、麻薬取引の待ち合わせ時間を18:15と指定しており、部下たちがこれを見ていたと主張。自分は店内に入るバイヤーの姿を見なくとも、その時刻に入ったと主張することでアリバイを成立に繋がった。また、今泉慎太郎曰く、「神様みたいな人」と評価されている。

かなりのヘビースモーカーであり、短時間で何本も吸っている。しかし、ホテルで張り込みをしていたわりには灰皿の吸い殻が少なかったことから、ホテルから出て行ったのではないかと、古畑から疑われるきっかけに繋がった。

古畑が差し入れに『モスバーガー』を持ってくると、「こんなこじゃれた物は食うたことがない」として、刑事生活の中では握り飯が相場と決まっていたと語る。半信半疑で食べてみると打って変わり、「こんなうまいもんが世の中にあったんだなー」と感動していた。ちなみに差し入れの種類としては、モスバーガー/モスチキンバーガー/チリドッグ/きんぴらライスバーガー/つくねライスバーガーである。小暮警視は、『モスラバーガー』と勘違いしていた。

集団行動を嫌い、常に単独行動をしているとのこと。ホテルで宿泊した際には、『山田五郎』という偽名を使用していた。ホテルの部屋番号は204号室であった。孫娘は『洋子(ようこ)』という名前で、高校2年生だったようだ。「30過ぎたら良い女になる顔をしている」と古畑に話を聞かせた。

古畑からアリバイを崩されると、「タバコ吸っていいですか?」と、彼の実力を認めたのか丁寧語で許可を得た。「残念だよ。洋子の事件も君に担当してもらいたかった。そうすれば……」「君に拳銃は必要ない」。古畑へ賛辞を述べ、深く敬礼をしたのであった。


古畑任三郎 生原浩

【©フジテレビビジョン『警部補 古畑任三郎「最後の挨拶」より引用』】

今回の被害者:生原治(はいばら・おさむ)

役者:鈴木隆仁(すずき・りゅうじん)

職業:

概要:詳しく見る
概要:2年6ヶ月前に小暮警視の孫娘を殺害した集団のリーダー。先週開かれた裁判では、証拠不十分により無罪が確定した。古畑の調べによると、他のメンバーはまだ未成年であり3~4年で出所する。口裏を合わせた、そんな印象を受けたと語る。

犯行計画/トリック

【張り込みを利用してアリバイを作る】

①小暮音次郎は麻薬ルートを掴んでいた。運び屋としてバイヤーに、酒場へ『18:15』に来るように呼んだ。麻薬の受け渡し場所が見えるホテルを借りると、18:00頃には部屋を出る。生原治が仕事を終えて帰宅するルートに待ち伏せした。

②18:10 生原が来ると呼び止めて拳銃で射殺、銃を遺体の胸元に置いた。拳銃は暴力団が良く使用する種類であり、抗争に巻き込まれ殺されたように見せかけた。

③ホテルに戻った。古畑任三郎にアリバイを聞かれると、その時刻はホテルで張り込みをしており、18:15にバイヤーが入るのをみたと主張する。小暮は部下たちが自分に内緒で張り込みを手伝っていたことに気が付いており、それを利用。部下たちはバイヤーが酒場に入るのを18:15に確認しているため、小暮の主張するアリバイが成立した。

視聴者への挑戦状

古畑「やはり生原を殺したのは小暮警視です。彼は張り込みを利用して生原を殺害しました。つまり、小暮警視のアリバイはニセモノです。彼がどういうトリックを使ったのか、もうお分かりですね。そして、りんごの謎。これも考えてみてください」

バーの客「だれと話してんだよー」
古畑「ん、こちらと」
バーの客「納得できねえなぁ」
古畑「古畑任三郎でした」

三幕構成

最期の挨拶 三幕構成

小ネタ・補足・元ネタ

〇小暮音次郎が犯行を認め、古畑に言ったセリフ「残念だよ。洋子の事件も君に担当してもらいたかった」は、刑事コロンボ41話『死者のメッセージ』の犯人が犯行を認めた際のセリフからオマージュしたものである。

〇26:26~28:34 科研の桑原万太郎に、今泉慎太郎が古畑任三郎についての不満を口にする場面がある。後に、『巡査・今泉慎太郎』というショートドラマの元となる。

まとめ

シーズン1の最終作品になります。古畑の上役が犯人として登場するなど、相手にとって不足なしな展開です。作品の動機としては『復讐』で、それに加えて『共感路線』というのも加わっているんですね。法では裁けないなら自分で裁きをくだすという展開なのですが、犯人の職業が『刑事』であることが良い味を出しております。

古畑任三郎の最後の台詞が良いですね、「人を裁く権利は我々にはありません。私たちのしごとは、ただ真実を導き出すことだけです」これが古畑の信念なのです。1話~9話までどこか飄々としていた彼なのですが、初めて本音を言ったんですね。小暮警視も彼の手腕を認め、敬語で話したことも印象的に残ります。

トリックとしては『アリバイ崩し』がメインテーマです。これが実に上手い演出でして、良く見ると証拠が丁寧に提示されているんですね。もし映像を見る機会がありましたら、ぜひ初めて古畑と今泉がホテルに訪れたシーンを見返してみてください。細か過ぎて気が付きませんでした。消火器/部屋のカーペットなど、しっかりとある違いが描写されているんですね。

最後に、古畑任三郎は『刑事コロンボ』をリスペクトした作品であることはご存じの方も多いでしょう。第1話「死者からの伝言」は、刑事コロンボ41話『死者のメッセージ』のアレンジ、そして今回の暮警視の台詞『洋子の事件も気に担当してもらいたかった。そうすれば……』も、死者のメッセ―ジからの流用なんですね。

初回、最終話共に『死者のメッセージ』で締めくくられているんです。コロンボではじまりコロンボで終わるという……、脚本家・三谷幸喜氏のリスペクト愛を感じます。

以上、『最後のあいさつ』でした。