シーズン1の最終作品である。古畑の上役が犯人として登場するなど、相手にとって不足なしな展開だ。犯人役には菅原文太氏を迎え、拳銃を片手に突入する昔ながらの刑事と、拳銃を持たない頭脳主義な古畑という対比が面白い。
データ
あらすじ
警視庁警視・小暮音次郎は、孫娘を殺した不良グループのリーダー・生原治が証拠不十分で無罪になったことを受け、自ら裁きを下す決意をする。麻薬ルートを知っていた小暮は、運び屋を装ってバイヤーに取引先と時間を指定し取引先が見える安ホテルを借りる。
部下が自分に内緒で張り込みに協力しているのを利用して、犯行時刻にバイヤーを見ずとも、部下がその時間に入ったことを証明してくれる張り込みのアリバイを完成させると、小暮はホテルを抜け出して生原が待ち伏せし射殺したのだった。
人物紹介(キャスト)
今回の犯人:小暮音次郎(こぐれ おとじろう)
役者:菅原文太
警視庁警視の男性。2年6ヶ月前、生原浩がリーダーの不良グループに孫娘を殺されてしまう。しかし、裁判では証拠不十分として生原は無罪となったことで、法に代わり自らの手で裁きを下す決意をした。
独自に掴んでいた麻薬ルートのバイヤーに運び屋を装い電話を掛けると、内緒で張り込みをフォローする部下たちを利用し、バイヤーが来る時刻に合わせて生原を射殺。自分は店内に入るバイヤーの姿をみなくとも、部下がその時間に入ったと主張することでアリバイを完成させた。
今回の被害者:生原治(はいばら おさむ)
役者:鈴木隆仁(すずき りゅうじん)
小暮警視の孫娘を殺害した不良グループのリーダー。先週開かれた裁判では、証拠不十分により無罪が確定していた。古畑の調べによると、他のメンバーはまだ未成年であり3~4年で出所する。口裏を合わせた、そんな印象を受けたと語る。
小ネタ・補足
〇26:26~28:34 科研の桑原万太郎に、今泉慎太郎が古畑任三郎についての不満を口にする場面がある。後に、『巡査・今泉慎太郎』というショートドラマの元となる。
刑事コロンボからのオマージュ
まとめ
証拠品の隠し方が実に巧妙であり、良く見ると丁寧に証拠が提示されている。再視聴する機会があったら、ぜひ初めて古畑と今泉がホテルに訪れたシーンを見返してみてほしい。細か過ぎて気が付かなかった。
犯人の職業が『刑事』であることが良い味を出している。法では裁けないなら自分で裁きをくだす決断をした小暮警視であったが、それに対し古畑任三郎が自身の倫理観を語る場面がある。これまで飄々としていた古畑任三郎であるが、ここで初めて刑事として彼は信念を話すのだ。
第1話「死者からの伝言」は、刑事コロンボ41話『死者のメッセージ』のアレンジであるが、今回の暮警視の台詞も、死者のメッセ―ジからの引用である。初回、最終話共に同じ作品で締めくくられており、コロンボではじまりコロンボで終わるという、脚本家・三谷幸喜氏のリスペクト愛を感じた。
以上、『最後のあいさつ』でした。