【VS.シンクタンク所長】コロンボのエピソードでもひときわ異彩を放っている作品なんですね。なんとロボットが登場して、犯人はそれを殺人に利用をするのです! この放送年代あたりだと、他作品でも何かとロボットが登場することがあるようで、コロンボにもその波が丁度到来したのかも知れません。
データ
あらすじ
シンクタンク所長マーシャル・ケイヒルに、同僚ハワード・ニコルソン教授から手紙が入った。今年1番の科学者に選ばれたケイヒルの息子ニールの論文は盗用で、受賞の辞退に応じなければ、不正を暴露するものだった。不正発覚を恐れたマーシャルは、彼の殺害を決意する。
マーシャルはシュミレーション戦中、高性能ロボットMM7にプログラミング作業を任せ指令室から抜け出す。助手の車を運転しハワードの自宅に向かうと、彼の妻マーガレットが家から出るのを待った。その後、車のクラクションでハワードを外に呼び出すと、そのまま車で跳ね飛ばし殺害した。
遺体を自宅のリビングに運び出し、研究用のヘロインなどを盗みに入った強盗殺人に偽装したのだった。再び指令室に戻り、MM7からプログラミング操作を引き継ぐと、犯行時刻には指令室に留まり、プログラミングで指示を出してていたという鉄壁のアリバイを作り上げたのだった。
人物紹介(キャスト/吹き替え声優)
今回の犯人:マーシャル・ケイヒル(ホセ・フェラー)
吹き替え声優:鈴木端穂(すずき みずほ)
職業:シンクタンクの所長
殺害方法:轢殺(研究所の車)
動機:口封じ
今回の被害者:ハワード・ニコルソン(リュー・エアーズ)
吹き替え声優:真木恭介(まき きょうすけ)
職業:シンクタンクの教授
小ネタ・補足
〇シンクタンクとは、頭脳集団などと訳す。各分野の専門家を広く集めた高度な研究組織。企業や政府機関などの依頼により、現状分析、未来予測、技術開発などを行い、経営戦略や政策決定に必要な知識や情報を提供する。特定の組織に従属しない独立の組織であること、多くの専門分野にわたる知識の総合化、システム化を行うこと、長期的視野に立つ未来指向型であることなどが特徴らしい。
〇『スティーヴン・スペルバーグ』少年を演じたのは、「リー・H・モンゴメリー」氏で、吹き替え声優は「手塚学」氏が担当した。
〇高性能ロボ『MM7』は、映画『トワイライトゾーン』『禁断の惑星』『アダムスファミリー』にも登場しているロボットである。本エピソードに登場したロボットは後期デザインらしい。映画好きなスペルバーグ少年が作製したのだから、過去に観た映画から着想を得たのであろう。
〇唯一ノベライズ版が発売されなかったエピソードであったが、コロンボ研究の第一人者『町田暁雄』氏が手掛けた同人誌『COLUMBO!COLUMBO!(4~6)』において、小説家「大倉崇裕」氏がノベライズ版を寄稿した。
まとめ
未来を思わせるような舞台なんですね。研究所の中は白の配色。科学者は白衣を身にまとい研究する。コロンボ警部も、いつもは鉛筆やペンでメモを書きこんでいたりしていますが、ボイスレコーダーを使って会話を録音していました。
舞台設定を『SF(サイエンス・フィクション)』にしたことで、思い切って『ロボット』を登場させ、それに自身のアリバイを作らせるのはユニークなアイディアだと感じます。殺害方法が車で轢殺というのは、未来設定の舞台にしてはアナログだと思いましたが……。
コロンボ警部が発見した疑問点の数々が、あまり活かされずに事件が解決してしまうのはなんだかもったいないですね。疑問点はあるが決め手に欠ける。
そのため、コロンボ警部も反則に近いような手段で犯人を落とすしかなかったんですね。父親の子に対する心情を利用した、あくどい落とし方にも思えます。何気にコロンボ警部を追い詰めた手強い犯人の1人なのです。
以上、23話「愛情の計算」でした。