イップス(ドラマ)|最終回11話『歪な怪物の正体』ネタバレあり感想【評価:普通】

事務員・久保碧くぼみどり(祷キララ)が自宅アパートで死亡。遺体の胸には十字架が突き刺さり、「間抜けな警察組織の人間ども 8年前 湯上幸ゆがみさちを殺したのは私だ。もう諦めたのか?」と犯行声明文が置かれていた。彼女は黒羽ミコ(篠原涼子)の小説『歪な十字架』で2番目に殺される同姓同名の被害者であった。

前話の犯人でジャーナリスト・新正誠あらまさまこと(野村周平)が撮った写真には、ミコの弟で弁護士・黒羽慧くろばけい(染谷将太)が久保碧と接触する姿が映っており、警察が現場に到着する頃には、慧は犯行現場となったアパートから自身に繋がる証拠を消して立ち去っていたのだった。

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データ・スタッフ

脚本:オークラ
音楽:野崎美波
演出:筧昌也
プロデュース:宮崎暖
制作プロデューサー:熊谷理恵
製作:フジテレビ

放送日:2024年4月12日
放送時間:46分

人物紹介(キャスト)

今回の被害者:久保碧くぼみどり
役者:いのりキララ

概要:事務員の女性(25歳)。小説『歪な十字架』の2人目の被害者と同姓同名であり、そこを犯人から目をつけられ殺されてしまう。なお、9話『ツイてない男の運のツキ』の物語の終わりが初登場シーンであった。

その他キャスト

概要役者
歪な十字架模倣事件の免罪人・異口治いぐちおさむモロ師岡
歪な十字架模倣事件被害者・湯上幸ゆがみさち華耀かようきらり
和菓子店「締美屋むすびや」の店員山下容莉枝やました よりえ
若い頃の黒羽ミコ小南満祐子こみなみ まゆこ
幼少期の黒羽慧黒川晏慈くろかわ あんじ
黒羽ミコのマネージャー・初田農はつだゆたか勝村政信かつむら まさのぶ
刑事・樋口一之ひぐちかずゆき矢本悠馬やもと ゆうま
機動捜査隊・酒井順平さかいじゅんぺい味方良介みかたりょうすけ
制服警官・水田勇人みずた はやと足立英あだちすぐる
弁護士・黒羽慧染谷将太そめや しょうた
異口治の息子・坂浦猛さかうらたける渡辺大知わたなべ だいち
朝キュン司会・萩原らくだ角田晃広かくた あきひろ

小ネタ・補足

『歪な十字架模倣事件』のおさらい
ドラマでは6話『フェアな逆恨み』で詳細が語られています

概要:『歪な十字架模倣事件』は8年前に世間を騒がせた事件である。黒羽ミコの推理小説『歪な十字架』の被害者と同姓同名の女性・湯上幸ゆがみさちが、小説と同じように胸を十字架で突き刺され殺されていたことからこの名称がつけられた。

タクシー運転手・異口治いぐちおさむ(モロ師岡)は、行きつけのスナック『カキモリ』から帰宅する途中に飲酒運転の検問で引っかかると、被害者の血痕が見つかったことから、殺人事件の容疑者として逮捕されておおり、事件には関与していないと事実誤認の免罪を訴えるが、一転して罪を認めたことで殺人罪により現在も服役している。

10話『復讐は天チューにあらず』の犯人・新正誠が規制線が張られている現場に戻ってきた際、ある人物が彼との接触を避けるようなシーンが挟み込まれている。

今作の犯人は、新正誠に情報をリークしたと語っており、2人の関係性を示す描写だったのだろう。

まとめ【評価:普通】

全11回に渡り放送されたテレビドラマ『イップス』の最終話はいかがでしたか。

SNS上では「お前が犯人かよ」などコメントがありましたが、消去法と前話の演出から怪しい人物を絞り込めた方もいたのではないでしょうか?

最終話は主人公である黒羽ミコ(篠原涼子)と森野徹(バカリズム)が「イップス」に陥った原因である、『歪な十字架模倣事件』を解決するエピソードであり、6話と同様に冒頭では犯人が断定されていないミステリー形式が用いられていました。

しかしながら、最後に明かされた『意外な人物が犯人』というのは、異常者・サイコパスなキャラ設定にすれば結局は誰でも犯人になり得る可能性を秘めることになります。つまり、真犯人があの人じゃなくても別の人物でも成立します。

まず、非常に犯人の動機がシンプルすぎて弱かった。そうするとメインである各キャラたちの背景が深堀りできておらず、結局のところ倒叙にこだわる必要性があったのか? と感じてしまいました。

このドラマの基本的なベースは「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」に見られる犯人視点から進む倒叙形式でしたが、探偵と犯人の駆け引きが醍醐味だと感じています。はたして完全犯罪は成功させることができるのかという緊迫感、犯人側が抱える苦悩や内面が見せどころです。

でも、今ドラマのメインとなる縦軸は『主人公たちがイップスを克服する物語』でした。これまで小出しに『歪な十字架模倣事件』の内容が出ていましたが、1話・3話・5話・6話・10話・11話を視聴すれば縦軸のドラマは終了します。

構成上、探偵側に焦点を当てる必要があるけど、そうすると逆に犯人側の要素・物語が薄くなる。趣向は良かったと思いますが、どっちも中途半端になるリスクが高い非常に難しい脚本だったわけで、結局のところは共倒れしてしまったように感じました。

最終話の良かった点としては、捜査令状なしに家宅捜査をするのかよというツッコミはおいておき、犯人の部屋の内装がいかにもベタベタなサイコパスっぽい部屋作りになっていたのはちょっと面白かったです。

また、森野が犯人から「疑ってるんですか?」と聞かれた際には、これまでの犯人(6人)のカットインが流れ、そのまま会話を継続できる展開は、最終話にふさわしい『イップス』を克服できた解放感を感られる良い演出でした。

そして森野が犯人の性格を知った上での最後のあしらいかたは良かったですね。逆に怒ったりするとドラマが安っぽくなるし、反応することで犯人が喜んでいたことでしょう。

最後に、若い頃のミコを演じた小南満祐子こみなみまゆこさんの声マネがめちゃくちゃ似てた。「まーたここで泣いてる」が篠原涼子さんが声当てしてるのかと勘違いしました。

以上、イップス(ドラマ)|最終回11話『歪な怪物の正体』ネタバレあり感想【評価:普通】でした。

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参考サイト

・フジテレビHP『イップス ストーリー最終話』(https://www.fujitv.co.jp/yips/story/index11.html)、2024年6月23日閲覧

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