刑事コロンボ 54話『華麗なる罠』歯科医師が仕組んだ巧妙なトリック

新・刑事コロンボ 54話 華麗なる罠

【VS.歯科医】なるべくお世話になりたくないのが、病院ではないでしょうか?独特な匂いや、暖房によって一定の温度に保たれた微妙な暖かさ。待ち時間の長さ……。挙げるときりがありません。

特に歯医者となると、「また来てくださいね」と勝手に次回予約されていたり、歯石をついでにとられたりすることも。ドリルの音が嫌ですよね。「キュイーーン」「ガリガリガリガリ!!」今回の殺人事件は、そんな歯科医が巧妙に仕組んだ毒殺トリックを用います。

スポンサーリンク

データ

脚本:スティーヴン・ボチコ
監督:アラン・J・レヴィ
制作:ペニー・アダムス
制作総指揮:ジョン・エプスタイン
製作総指揮スーパーバイザー:ウィリアム・リンク
共同制作総指揮:ピーター・フォーク
ストーリー監修:ジャクスン・ギリス&W・R・ウッドフィールド
クリエイティブ・コンサルタント:ビル・ドリスキル
音楽:ジェームズ・ディ・パスカル

本編時間:96分
公開日:アメリカ/1990年4月28日 日本/1994年12月2日

あらすじ

歯科医ヴェズリー・コーマンはギャンブル狂いである。とっくに破産しているような金は、義父ホレス・シャーウィンが肩代わりしていたが、ついに妻リディアとの離婚を突き付けられる。離婚すれば経済的に破綻してしまう。それを避けたい彼は、ホレスに恩を売りつける殺害計画を画策した。

患者で妻の不倫相手であるアダム・エヴァンスを治療する際、歯のかぶせ物に心臓の薬『ジギタリス』を仕組んだ。これで、アダムが妻と密会のする時間には、薬が溶け出して心臓麻痺が起こる。ヴェズリーはその時刻、ポーカーをしていたというアリバイを作った。

リディアが電話をかけると、ポーカー会場に連絡が入るように設定をしており、アダムが倒れたと妻からの連絡を受け自宅に戻った。アダムの死を隠ぺいしてリディアを介抱すると、娘の窮地を救ったことで、義父ホレスからの評価は戻った。そのうえでヴェズリーは、リディアが殺人を行ったように偽装し、事件を誘導していたのだった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:ウェズリー・コーマン
役者:ジェームズ・リード

吹き替え声優:菅生隆之

概要:歯科医師の男性。医院長ホーレス・シャーウィンの娘リディアと5年前に結婚したが、すでに愛想を尽かされている。ホーレスにもギャンブルで作った多額の借金を肩代わりしてもらっており離婚を迫られた。離婚すると経済的に破産してしまうため、義父の評価を保ちつつ、妻の犯行に見せかける殺人事件を画策した。

ホーレスによると、アシスタントを5年間務めてもらったが、歯科医としてはまったくの無能と評価される。リディアも当初こそ愛していたらしが、現在は俳優アダム・エヴァンスと不倫関係にあった。ホーレス、リディアから必要とはされず肩身が狭い。そのうえ投資やギャンブルにも才能がなく合計22万ドルの借金をしているようだ。(1990年4月:1ドル=158円 22万ドル=3.476万円)

借金内容は以下である。

①競走馬に投資するもわずか2レースで馬が急死(心臓麻痺で保険もかけていなかった)
②リゾート開発では10万ドルが水の沫(10万ドル:1.580万円)
③ラスベガスをはじめとしたギャンブルetc.
ボー・ヤングという男性とタルサ郊外に油田に関する投資も検討していた。

そんないい所がない彼ではあるが、7年前にリディアを救っているらしい。最初の夫トニーが新婚初夜のメキシコのホテルで心臓発作により急死した。リディアは彼を助けたいと自分の心臓の薬『ジギタリス』を服用させたとのことだが、どこで関わっていたのだろうか?

リディアが故意に薬を使った殺人にならないよう、今回の計画のような偽装をしたのであろうか。病院に緊急入院させて騒ぎが収まるのを待つなど他のアイディアでも出したのだろうか?

歯科医院のオフィスには、スターの写真が多数飾られており患者に多いらしい。また、治療に関しては「ウルトラソニックドリル(超音波)」で削る機械があるようで、通常のドリル音が苦手な人でも安心のようだ。

ギャンブルに関しては、今エピソードでは「ポーカー」「競馬」を行っていた。競馬は情報通がいるようで、オッズ25倍の大穴「ピノキオ」という競走馬が必ず勝てると豪語していた。ポーカーは2000ドルの負けであるが、競馬は連勝中であった。コロンボ警部もピノキオに1ドルを賭けたようだが、その後の結果は不明である。(2000ドル=31万6千円)

競馬場ではゲンの良い飲み物として、ミルクを飲むようにしているようだ。また、化学は苦手であるとのこと。コロンボシリーズの犯人は、人生の成功者ともいうべき人物たちが多いのだが、どこか負け犬的な犯人であり、コロンボから詰め手を出されたときには「もういい」と、早々と諦めて罪を認めた。


今回の被害者:アダム・エヴァンス
役者:マーシャル・ティーグ

吹き替え声優:関俊彦

概要:リディアと不倫関係にある俳優の男性。交際は真剣だったようで、ウェズリーが離婚したら結婚をする約束をしていた。もし殺害されなければ、映画祭でカンヌに5日間滞在する予定であった。歯の治療箇所は、小臼歯の空洞を埋めることであった。ウェズリーから治療後、1日は酒を飲まないようにと忠告はされていたが、その晩にリディアと密会。マルガリータを飲酒している。

映画にも出演しており、コロンボによると「面白かったよー。ヘリからバンバン撃ってさー」とのこと。検視報告では全身57箇所の傷があったが、スタントもやるため、アクションシーンでついた傷も多かった様子。人気絶頂で、女性にモテモテで金はある、脂の乗った時期であった。そんな彼が選んだリディアとはパーティで知り合い、2ヶ月前までは1晩に2度は電話を掛け合っていたようだ。

死因は心臓発作を防ぐ薬「ジギタリス」である。用量は1㎎(塩2粒)、それをはるかに超える量の薬が体内に入り、1~2分で死亡してしまった。

小ネタ・補足

ジョン・バレンタイン宅でポーカーをするシーンでの有名人
『ディック・サージェント』…劇中のセリフにあるよう「奥様は魔女」2代目ダーリン。
ロン・セイ』…ドジャースやカブスで活躍した大リーグの選手。
ナンシー・ウォーカー』…TVシリーズ「署長マクミラン」で、主人公のメイド役。
『ジョン・ロアーク』…俳優。ジャック・二コルソンやブッシュ大統領(父)の物真似が得意で、1991年にはブッシュ大統領役で『裸の銃を持つ男2 1/2』で出演している。

スポンサーリンク

まとめ

諦めが屈指の早さな犯人でした。最後まで粘っていれば証拠は出なかったのかも知れません。しかし、そこはコロンボ警部の自白させる上手さです。犯人は化学が苦手と語っており、事件解決方法も、その化学を用いた証拠で証明をしました。そういえばコロンボ警部も、8話『死の方程式』で化学は苦手と語っていましたね。

一種の苦手意識というものは中々払拭できるものではありません。何事も見た目が大事であり、苦手な対象物を見た瞬間に何だかやる気が削がれる気がしないでもありません。だからこそ、警部は「化学セット」なんて物を持ち出して、「これから化学を使った証拠を見せます」、なんて分かりやすい状況を作り出したのかも知れませんね。

以上、「華麗なる罠でした」

タイトルとURLをコピーしました