精神科医が患者の性格を犯行計画に利用します。第1話「死者からの伝言」と同じく、女性犯人による復讐劇になるのですが、古手川祐子が演じる強い女性というキャラクターが古畑との対決感を生んでいます。

また、後にも先にもないのが『古畑任三郎が喫煙者』という設定です。ストッキングを被る田村正和氏のシーンを撮影したかっただけのために組み込まれた名場面になっています。

データ

脚本:三谷幸喜
監督:関口静夫
制作:フジテレビ
演出:河野圭太
音楽:本間勇輔

本編時間:46分07秒
公開日:1994年4月27日

あらすじ+人物相関図

精神科医・笹山アリ(古手川祐子)と、クリニックの元患者・田代慎吾(羽場祐一)は恋人関係にあったが、田代は別の女性と婚約をしてしまう。笹山は自分を振った田代に復讐するため、人を驚かせるのが好きな彼の性格を利用し、自分の部屋に強盗が押し入ったように装い、正当防衛による殺人を主張したのだった。

人物紹介(キャスト)

今回の犯人:笹山ささやまアリ
役者:古手川祐子こてがわ ゆうこ

概要:精神科医の女性。クリニックの元患者・田代慎吾と交際していたが、別の女性と婚約したことを知り強い復讐心を抱く。人を驚かせるのが好きな彼の性格を利用すると、自らストッキングを被ってベランダから入るように誘導してバットで撲殺。強盗が押し入ったため正当防衛で反撃したように見せかけた。非常に気が強く女性らしさとはやや遠い位置にあるような人物で、料理はまったくできない様子。犯行日は30歳の誕生日であった。


今回の被害者:田代慎吾たしろ しんご
役者:羽場裕一はば ゆういち

概要:シェフの男性。笹山神経外科クリニックの元患者で、アリと交際をしていたが別の女性と婚約してしまう。人を驚かせるのが好きな彼にとって、精神科医で心の内を見透かしているアリとは馬が合わなかったのかも知れない。

人を驚かせるためにそこまでするのかというほどアグレッシブな行動力であり、下手したらマンションから転落してしまう可能性もあった。

刑事コロンボからのオマージュ

古畑任三郎刑事コロンボ
(1)精神科医が犯人
(2)古畑はストッキングを被りタバコを吸えたことを証明する
31話『5時30分の目撃者』
(1)精神科医が犯人
(2)コロンボはストッキングを被ったままではタバコを吸えないと推理する
強盗が入ったように見せかけ正当防衛で反撃したと主張する筋書き7話『もう一つの鍵』

台本を読む

今作の台本を入手しました。ドラマとは違った設定だった部分もあり、興味のある方は補足としてぜひ読んでみてください。

古畑任三郎の台本を読む|第1シーズン第3話「笑える死体」本編との違いを解説
『古畑任三郎』第1シーズン3話「笑える死体」の台本を徹底解析!ドラマ本編との違い、脚本家・三谷幸喜の工夫、デコパッチンの初登場シーンなど、視聴がより楽しくなる考察ポイントを詳しく紹介。

まとめ

『刑事コロンボ読本』(2018年)p.275の三谷幸喜さんへのインタビューによると、古畑任三郎で1番最初に撮影が開始されたエピソードになっています。古畑から部下・今泉へのデコパッチンや『セリーヌ』の自転車で登場するのも初めての回でもありました。

忘れられないのが、田村正和氏が、ストッキングを被ってタバコを吸うシーンです。吸った後に煙が目に染みたのか、シパシパとしているのもユーモラスであります。さらに料理を使った鎌をかける会話のやり取りが絶妙でした。

惜しい点としては、犯人逮捕に繋がる決定的な証拠です。冒頭で被害者・田代が目線で何かを匂わせる演出があるもの、最後まで画面に映ることがありませんでした。どこかの場面で少しでも証拠が提示されていれば、ミステリとしてフェアな作品だったと思います。

以上、「笑える死体」でした。