イップス(ドラマ)7話『真っ白な殺意』ネタバレあり感想|評価:嫌い

元プロフィギュアスケーター・皇真白(村上佳菜子)は、現在は一線を退きコーチとして活躍していた。特に力を入れて指導しているのが倉科吹雪(青山凌大)だが、突然コーチ契約を解消されてしまう。彼女の指導に嫌気がさした倉科は、新コーチ・奥森美音(清水くるみ)の色仕掛けにハマったのだ。

皇は両者に復讐を決意すると、犯行前に偶然知り合った黒羽ミコ(篠原涼子)を会場まで招き入れ一緒に教え子のリハーサルを鑑賞する。その演技の暗転時間を利用して会場を抜け出すと、トレーニングルームにいる奥森を絞殺、彼女と待ち合わせしていた倉科にその罪を擦り付けたのだった。

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データ・スタッフ

脚本:森ハヤシ
トリック監修:能塚祐喜
音楽:野崎美波
演出:並木道子
プロデュース:宮崎暖
制作プロデューサー:熊谷理恵
製作:フジテレビ

放送日:2024年5月24日
放送時間:46分

人物紹介(キャスト)

今回の犯人:皇真白(すめらぎ・ましろ)
役者:村上佳菜子(むらかみ・かなこ)

概要:フィギュアスケートコーチの女性(32歳)。愛弟子・倉科吹雪が自分から離れ、新コーチ・奥森美音を選んだことで両者に復讐を決意する。教え子のリハーサル時間(4分57秒)を利用して会場を抜け出すと、奥森を絞殺、その罪を倉科に擦り付けた。

元プロフィギュアスケーターであり、2018年にはワールドツアーで日本人初の2連覇を成し遂げ、『氷上のジャンヌダルク』と称され、引退後はコーチとして多数の教え子を指導している。


今回の被害者:奥森美音(おくもり・みおん)
役者:清水くるみ

概要:フィギュアスケートコーチの女性(32歳)。皇真白とは同年代であり、彼女も同様にフィギュアスケーターを引退後はコーチとして活躍していた。倉科吹雪を色仕掛けで略奪すると、新コーチの座を奪い取った。

皇のことは、倉科が言っていたと前置きをしているが、「選手としては一流でもコーチとしては二流以下」と述べている。

その他キャスト

概 要役 者
役名:倉科吹雪(くらしな・ふぶき)青山凌大(あおやま・りょうだい)
役名:月野(アリバイ作りに利用された教え子)中島侑香(なかしま・ゆうか)
警備員のおじさん金田誠一郎(かなだ・せいいちろう)
教え子(ピンクのセーター)森川千滉(もりかわ・ちひろ)
教え子(ターコイズブルーのセーター)暇夏(いとま・なつ)

古畑任三郎からのオマージュ

○前話のタイトルがフェアな逆恨みで、今作は元フィギュアスケート選手「村上佳菜子」をゲストスターに迎えている。これは当時現役野球選手「イチロー」をゲストスターに迎えた古畑任三郎『フェアな殺人者』から着想を得ていると思われる。

●犯行現場の構造を利用して時間内に行き来するトリックは、古畑任三郎『さよなら、DJ』から影響を受けていると思われる。同じく女性犯人であり、自分から男を奪った女性が被害者になる。また、探偵側も時間内に行き来することが可能かを何度も走って検証するのである。

●教え子の演技の暗転時間を利用して移動したり、ネックレスが事件のキーポイントになる流れは、古畑任三郎『しばしのお別れ』から影響を受けていると思われる。

小ネタ・補足

●06:48~倉科吹雪(青山凌大)のメッセージアプリを確認すると、「マヒロかわいいよな! 俺も捕まりたい!」や「悪童エクスプレス残念!」とのやりとりがある。
前者は1話『電撃ウィッチの魔法』の犯人
後者は2話『悪童の生配信、生殺人』の配信者コンビのチャンネル名である。

●森野徹(バカリズム)のスマホに送られてきたメールを確認すると、犯行現場となった『クリスタルソルベアイスアリーナ』は、東京都密里市高石1-1-3にあるとされる。もちろん架空の住所である。

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まとめ(評価:嫌い)

元フィギュアスケート選手「村上佳菜子」氏をゲストスターに迎えた本作品は、彼女の職業をそのままキャスティングしており、当時現役野球選手「イチロー」を犯人に起用した、古畑任三郎『フェアな殺人者』イップス版とも言える内容です。

特徴的なのが14:45~オープニングに入る長さでした。他のエピソードでは9分前後のため、今回は長めの枠組みが設けることで、最初に役者「村上佳菜子」を視聴者に見せておきたい狙いがあったのだと思います。評価は嫌いとしていますが、彼女の演技面での評価は含んでいません

犯行シーンの滑舌は怪しい部分もありましたが普通に上手だと思います。最後のスケートシーンは『とりあえず入れといたんだな』みたいな気持ちになりましたが、ドラマのために村上佳菜子さんが作ったオリジナルプログラムでありファンの方は必見かも? 

また、愛弟子を奪ったコーチへの復讐劇で終わるのではなく、同時に愛弟子に罪を擦り付ける犯人のキャラ設定は、役者に配慮して同情される人物にしていないのはポイントが高いです。最後の告白も愛弟子を人扱いしておらず、自らの理想のために指導していたと考えるとかなりヤバい犯人ですぜ。

評価が下がった理由としては、ミステリ部分の弱さです。メイントリックである「黒羽ミコを利用して犯人は一緒にリハーサルを見ていたと証言をしてもらう」、「リハーサル時間内に会場と犯行現場を行き来する」ですが、『さすがにバレるだろ!』と声に出したいものがありました。

黒羽の『なんにでも首を突っ込む』性格上リハーサル中だろうが隣にいるとされる犯人に声を掛けそうなものです。犯人の後方にある2階席にもスタッフがおり、いくら暗転していたとはいえスポットライトの光もあるなか、誰にも気が付かれず会場を抜け出すのは無理があると感じます。

さらに、会場⇔犯行現場(トレーニングルーム)の道順がわかりにくいです。玄関から入り警備員窓口の前を通るのはわかりますが、その後のルートが提示されていません。

序盤の段階で会場と犯行現場の位置関係が分かる演出・描写があれば、より犯人が『4分57秒』という短時間で疾走する大変さ、どのように時間内で移動できたのかの謎を共有できたと思います。

その大変さの部分は、何度も往復して時間を計測する黒羽ミコが担っているのですが、謎の中心である「どうやって時間内に行き来できたか」の部分は、遅れて到着する森野徹(バカリズム)がすぐ答えを導きだすため、苦労して解答に辿り着いた解放感を感じずに終わってしまいます。

せっかく警備員というキャラを出していたのですから、「犯行時刻は倉科以外に誰も横切っていなかった」などの証言を踏まえた上で森野が順路を推理する流れがあった方が、唐突な解決シーンには繋がらず、隠していたミステリ部分を楽しむことができたでしょう。

一方で決定的証拠の隠し方ですが、安易に捨てられない理由が回想で補足されていた点は良かったです。後から犯人と被害者の関係性を明らかにしていく、3話を手掛けた『森ハヤシ』さん好みの脚本パターンなのだと感じました。

総評としては、村上佳菜子氏が演じる犯人のサイコ感は見事でしたが、トリック部分が古畑任三郎の某エピソードを組み合わせた内容となっており、オリジナル性・演出が薄いために評価が低くなりました。

以上、イップス(ドラマ)|7話『真っ白な殺意』ネタバレあり感想【評価:嫌い】でした

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参考サイト

・フジテレビ『イップス ストーリー07』(https://www.fujitv.co.jp/yips/story/index07.html)、2024年5月25日閲覧

・フジテレビ『イップス ニュース25』(https://www.fujitv.co.jp/yips/news/index25.html)、2024年5月26日閲覧

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