【VS.会計事務所経営者】このエピソードを偏愛する人が続出している名エピソードです。犯行現場となるのは、上位2%の頭脳をもつ人間しか入会することのできない「シグマ協会」。犯人であるオリバー・ブラントはその頭脳を活かしたトリックを用い完全犯罪を企てます。ピタゴ〇スイッチ…⁉
問題:金貨の入った袋が数袋あります(袋の数は何個でも可能)。しかし、1袋だけ偽装された金貨が入っており重量が違います。本物=100g 偽造=110gとしたとき、一度だけ秤を使用して、偽造された金貨が入った袋を見つけてください。
データ
あらすじ
『ブラント&ヘイスティング』は、オリバー・ブラントとバーディ・ヘイスティングが共同経営している会計事務所だ。2人は知能数が上位2%の人間しか入会することができない、『シグマ協会』の会員でもある。
シグマ協会の集会の日、バーディは話したいことがあるとオリバーを2階の図書室に呼び出した。オリバーが顧客の金を横領した事実を掴んでおり、それをバーディは告発すると言うのだ。不正が明るみになる前に、オリバーは彼を殺害する決心がつき射殺した。
図書室のレコードプレーヤーに前もって用意した仕掛けを作動させると、下の階に戻った。レコードの再生時間が終わると、爆竹が破裂して、発砲音が鳴り響いたように聞こえる。倒れた音と同時に2発目の発砲音が聞こえると、シグマ協会のメンバーが急いで図書室へ駆けつける。
入り口のドアを開けると、窓を開けていた気圧の影響で図書室の裏のドアが閉まった。たった今、強盗が協会に押し入り、バーディを殺害し逃走していったかのように偽装したのだった。
人物紹介(キャスト/吹き替え声優)
今回の犯人:オリバー・ブラント(セオドア・ビケル)
吹き替え声優:田中明夫(たなか あきお)
職業:会計事務所経営
殺害方法:射殺(サイレンサー銃)
動機:口封じのため
今回の被害者:バーディ・ヘイスティング(ソレル・ブーク)
吹き替え声優:高木均(たかぎ ひとし)
職業:会計事務所経営
小ネタ・補足
〇シグマ協会の壁には、第3話『構想の死角』で登場した「メルヴィル婦人」の肖像画が飾られている。
〇犯人が犯行計画時に流していたレコード曲は、チャイコフスキー幻想序曲『ロメオとジェリオット』である。エピソード中に利用された部分は、収録CDにもよるが15分20秒辺りからである。
〇金貨問題に関して
問題:金貨の入った袋が数袋あります(袋の数は何個でも可能)。しかし、1袋だけ偽装された金貨が入っており重量が違います。本物=100g 偽造=110gとしたとき、一度だけ秤を使用して、偽造された金貨が入った袋を見つけてください。
まとめ
非常に綺麗な三幕構成で、「序盤:犯人の後悔」「中盤:犯人の飛躍と転落」「終盤:人生の理解者(コロンボ)の登場」と分けることができます。犯人は他者に対し内心見下した態度をとる一方で、他者に劣等感を感じています。
コロンボに対しては、自分を逮捕する立場でありながらも良き理解者となっています。それが、最後の第3幕「最後の戦い」に集約されており、物語を盛り上がるBGMにも拍車がかかります。最後の詰め手が納得いかない方も多いようです。
犯人は、「君にそんなたわごとを信じさせた奴は救いようのないバカだ!」と語っているように、コロンボのことを心底評価していたのです。それなのに、見下しているシグマ協会員からの入れ知恵により、自分が認めたコロンボ警部が!
となるように、犯人からアクションを引き出すコロンボのリードが見事なんですね。犯人が自白を認めてからのコロンボ警部との会話が印象にも残ります。最後の終わり方も、落語のような切れ味の良いオチで後味が良いですね。
以上、40話「殺しの序曲」でした。
はじめまして。スッキリしない点が一つあります。それは通話時間とプレーヤートリックの4分間の事です。終盤のコロンボの言い方がまるで通話時間に合わせて4分間にしたかのように聞こえてしまいます。実際は電話が有ったからこそセットした犯人はオリバーでしかあり得ないとなるはずです。
原田様
実習等と重なり返信が遅くて申し訳ございません!
≫終盤のコロンボの言い方がまるで通話時間に合わせて4分間にしたかのように聞こえてしまいます。
通話時間に合わせて狙ったわけではなく、偶然レコードの再生と、電話のタイミングと合致しただけなんですよね。
≫実際は電話が有ったからこそセットした犯人はオリバーでしかあり得ないとなるはず
コロンボ警部がオリバー宅で、奥さんからレコードの説明を受ける場面があります。「つまり犯人がレコードをかけるわきゃないし、あなた(オリバー)もおかけにならなかったとすれば、バーティさんがかけたわけですが」
ドラマだと簡略化されていますが、ノベライズ版では「レコードはあなたがおかけになったんで?」「いや、私ではない」「するとバーティさんが?」「そうだよ。バーティがかけた。彼しかいない」と、バーティがレコードをかけたと断言する流れになっています。
・プレーヤーがセットされていた時間は残り4分間のところだった。
・オリバーが2階の図書館から1階に降りてきてから、ちょうど4分後に銃声が聞こえた。
上記2点は電話のおかげで確認できました。
でも、一緒に図書館にいたバーティがレコードをセットしたとシラを切られてしまいます。途中からセットしていたのも、その部分が好きだったとか適当に誤魔化されちゃいます。
『犯人はオリバーでしかあり得ないとなるはず』と言いたいところですが、怪しいが確たる証拠にならない、そのため『なぜレコードを途中からかける必要があったのか』という謎からトリックを暴き、自白に転じさせる方法を選択したのだと思います。
……ご質問の意図とズレていましたら申し訳ございません。