古畑任三郎 33話『絶対音感殺人事件』あらすじと解説

古畑任三郎 33話 絶対音感殺人事件

【VS.指揮者】「子供の頃、何が怖かったかと言えば、薄暗い小学校の音楽室に飾ってあった作曲家の顔。あんな怖い物ありませんでした。バッハ、シューベルト、メンデルスゾーン、そしてベートーベン。中でも一番怖かったのは、ヘンデル。未だに音楽が苦手なのはあの肖像画のせいかもしれませんね。今の小学校にも飾ってあるんでしょうか?もしあったら先生、すぐにはずして下さい」

スポンサーリンク

データ

データ:詳しく見る

脚本:三谷幸喜

監督:関口静夫

制作:フジテレビ

演出:佐藤祐市

音楽:本間勇輔

本編時間:46分16秒

公開日:1999年5月18日

あらすじ+人物相関図

古畑任三郎 絶対音感殺人事件指揮者 ・黒井川尚は、楽団のビオラ奏者・滝川ルミと愛人関係にあった。彼女から別れを切り出されると、思わず灰皿で撲殺してしまう。階段から転落死したように偽装すると、その夜の演奏会の指揮者として式台に立った。

演奏を聴いていく中、絶対音感によりクラリネット奏者・石森が指を怪我していることを聴き分ける。黒井川も同じ指を怪我しており、それは滝川の部屋にあったワインオープナーでつけた傷だった。石森が彼女の新しい恋人と確信した黒井川は、彼に罪を擦り付けようとしたのだった。

人物紹介(キャスト)

絶対音感殺人事件 犯人 黒井川尚今回の犯人:黒井川尚(くろいかわ なお)

役者:市村正親(いちむら まさちか)

職業:指揮者

殺害方法:撲殺(灰皿)

動機:別れ話のもつれ

概要:詳しく見る
『甲陽フィルハーモニー』指揮者の男性。家庭をもっていながら、楽団のビオラ奏者・滝川ルミと愛人関係にあった。別れを告げられるが未練タラタラで、思わず灰皿を掴むと撲殺。階段からの転落死に偽装するが、古畑任三郎から追及されるとクラリネット奏者・石森に罪を擦り付けた。

絶対音感を持っており、机の叩く音、今泉のオデコを叩く音、車のクラクションなどを音階で示すことができる。他にも指に負った傷の具合から、絆創膏をしているため音の響きが弱くなっている可能性があるなど、かなり高度に分析できる音感を保持している。

これにより、自身と同じ指を怪我した石森を発見。滝川の部屋にあったワインオープナーでつけた傷で、石森が彼女の新しい恋人と確信するに至っている。冒頭のワインオープナーで指を傷つけた際には、絆創膏を貼ってくれるように滝川に頼み込んでおり、かなりの甘えん坊だ。

指揮者として式台に立つ以外には、CDのレコーディングなども行っている。タイトルは『子供のためのオーケストラ』であった。「知らない曲はない」と豪語しており、古畑任三郎が思い出せないでいた曲を最後には見事に発見してみせた。


絶対音感殺人事件 被害者 滝川ルミ今回の被害者:滝川ルミ

役者:街田しおん

職業:ビオラ奏者

概要:詳しく見る
26歳、ビオラ奏者の女性。「甲陽フィルハーモニー」の指揮者・黒井川尚と愛人関係にあったが別れを告げた。アパート暮らしであり、部屋番号は201号室であった。黒井川によると、ショパンが好きだった様子。ペットとして熱帯魚を飼っていた。

タバコを吸うのか? 陶器製の灰皿を置いており、それを凶器に使用されてしまった。楽団のクラリネット奏者・石森から好意を寄せられており、ワインオープナーをプレゼントされている。文字を書く時の利き腕は右手のようである。

犯行計画/トリック

『転落死に偽装』

①黒井川尚は、滝川ルミのアパートで、彼女から別れを告げられ灰皿で撲殺してしまう。部屋の指紋などを拭き取ると、遺体にコートを着せ外に運び出し、玄関に鍵を掛ける。鍵はコートのポケットに入れると、階段から楽器ケースと遺体を転落させた。

②その夜は雨で、階段から足を滑らせた事故死に見せかけたが、古畑任三郎から追及を受けて疑われてしまう。真夜中、彼女の新しい恋人で楽団のクラリネット奏者・石森のクラリネットを破壊する。その部品を被害者の部屋に仕込み罪を擦り付けた。

推理と捜査(第2幕まで)

ネタバレ注意!表示する

〇玄関の鍵が上着の左ポケットに入っていた。右利きの人は、鍵を掛けた後、たいてい右ポケットにしまう。被害者のポケットに誰か鍵を入れたのではないか?
→楽器はたいてい両方の手を使う。音楽家に利き手は関係ない。

〇黒井川が他の楽団にビオラ奏者の代役を頼んだのが18時だった。被害者が遅れてやってくるとは思わなかったのか? 18時の段階で決断するのには勇気がいると思う。
→電話1本もなしに遅れること自体許されるべきではなく、コンサートに出すつもりはなかった。

視聴者への挑戦状

ネタバレ注意‼

「えー今日の問題は、なぜ熱帯魚は死ななければならなかったのか? 今回の事件のキーポイントは音です。音。どうしても分からないかたは”絶対音感”について勉強してみてください。古畑任三郎でした」

小ネタ・補足・元ネタ

〇刑事コロンボ10話『黒のエチュード』がモチーフである。指揮者が犯人で、楽団の奏者でショパンが好きな愛人が被害者。被害者に好意を寄せる、同じく楽団員に捜査の目を向けさせる。事件により被害者のペットが死に、灰皿が犯行に用いられる。

〇古畑任三郎29話『忙しすぎる殺人者』では、「絶対音感を利用して殺人を犯す男の話」を古畑が語っていた。正確に言えば、絶対音感を利用して殺人は行っていない

〇クラリネット奏者・石森を演じたのは、『橋本さとし』である。

〇作中で利用された楽曲一覧

冒頭 『亡き王女のためのパヴァーヌ』
偽装工作時 『クープランの墓』
演奏会 『ボレロ』
古畑が思い出せない曲を言う西園寺/黒井川 『エリーゼのために』
被害者のお別れ会のBGM 『エチュード Op.10-3 ホ長調(別れの曲)』
古畑が思い出せない曲を言う黒井川 『パガニーニによる大練習曲』第3番嬰ト短調「ラ・カンパネラ」
今泉がクラリネットで演奏した曲 メロディー的に『越冬つばめ』だと思われる
黒井川の収録時の曲 『交響的物語 ピーターと狼』

まとめ

『絶対音感殺人事件』なんて1度聞いたら忘れられない、声に出して読みたい。非常にキャッチーなタイトルなんですね。そのまんまストーリーとしても、「絶対音感を持つ指揮者が殺人を起こす」という興味をそそられそうな設定でもあります。

この作品のアイディアは前々からあったようで、24話『しばしの別れ』29話『忙しすぎる殺人者』でも、セリフの中で登場しておりました。29話では、「絶対音感を利用して殺人を犯す男の話」とのセリフがありましたが、実際には「絶対音感があることで古畑から疑われる話」になっています。

推理パートはやや弱く、『推理と捜査』の手数があまりありません。ライティングデスクのライトが左から当たっていたため、被害者は右利きであるなどは上手い疑問点だと思いました。推理パートが少ない分、それを補うためのギャグパートが多いんですね。

古畑任三郎が思い出せない曲。今泉慎太郎の音楽知識、犯人とのやりとりなど、ギャグパートの方に大きく時間が配分されており、喜劇作家・三谷幸喜氏を堪能できるエピソードでもありました。

犯人役に舞台俳優として活躍する『市村正親』さんを起用しており、テレビ俳優とは違った個性的な犯人像が印象に残ります。豪快で陽気でありながらも姑息な音楽家として見事ですね。ラストに古畑が分からないでいた曲が入ったカセットを渡し、退場するシーンもチャーミングでした。

以上、『絶対音感殺人事件』でした。