遊園地を舞台に繰り広げられる爆弾魔との緊迫なサスペンスな展開が魅力的です。ゲストに木村拓哉氏を迎えた本作は、タイムリミットが設定されています。今泉が乗った観覧車に時限爆弾が設置されているからです。殺人事件は発生しているものの、それ自体に重点は置かれておらず、あくまでも爆弾解体を巡る攻防戦を主軸に描かれています。

データ

脚本:三谷幸喜
監督:関口静夫
制作:フジテレビ
演出:松田秀知
音楽:本間勇輔

本編時間:46分10秒
公開日:1996年1月31日

あらすじ+人物相関図

天神大学電子工学部研究助手・林功夫(木村拓哉)は、真夜中に遊園地『エキサイト・パーク』に侵入すると、観覧車に時限爆弾を仕掛けた。帰り際、自転車のカギを紛失したことに気が付き、しかたなくチェーンを切った所を見回りに来た警備員・真鍋茂(金井大)に見つかり持っていたマグライトで撲殺する。

翌日、林は遊園地に現金を用意しなければ観覧車を爆発すると脅迫電話を掛ける。殺人事件の調査に来ていた古畑任三郎の部下・今泉は観覧車に乗っており、爆破のリミットまでに救出しなければならない。警察の爆破処理班が到着すると、爆発物のエキスパートとして協力依頼をされたのが林功夫であった。

人物紹介(キャスト)

今回の犯人:林功夫(はやし・くにお)
役者:木村拓哉

概要:天神大学電子工学部研究助手の男性。自身の研究室で時限爆弾を作り上げると、遊園地『エキサイト・パーク』内の観覧車に仕掛けた。戻る際に自転車のカギを落としたことに気が付くと、しかたなくチェーンを切断した所を警備員・真鍋茂に見つかってしまう。顔も防犯登録番号も知られてしまったため、持っていたマグライトで撲殺した。

翌日、エキサイト・パークに「正午までに現金3000万円を用意しろ」と脅迫電話を掛けると、いつの間に仕掛けたのか? 観覧車に爆弾を設置したことが嘘ではないと証明するために、チケット売り場を爆破させて見せた。

大学では主に電子工学を専門にしており、その応用で爆発物に関しても高い知識を持っている。そのため、療養中で警視庁の爆弾処理のベテラン・左門から推薦を受け、皮肉にも専門家として、自身が時限爆弾を設置した遊園地で古畑任三郎と一戦を交えることになった。

移動手段は自転車である。天神大学の目の前に遊園地『エキサイト・パーク』があり、そこにも自転車で向かった。誰からも見つからないよう短時間で爆弾を設置する必要があるにも関わらず、几帳面にもチェーンにカギを掛け、挙句にカギを紛失して殺人に手を染める結果となってしまった。


今回の被害者:真鍋茂(まなべ・しげる)
役者:金井大

概要:警備員の男性(56歳)。去年できた遊園地『エキサイト・パーク』で勤務しており、2時~3時の見回りの際、自転車のチェーンを切り落とす林功夫を発見する。自転車の盗難が多いため、防犯登録番号をメモしていたところ、マグライトで2回後頭部を殴られて撲殺された。

小ネタ・補足・元ネタ

〇観覧車に仕掛けた爆弾は「1989年ニューヨークのコロンバス・アベニューのテロで使われた爆弾と同じ」と林功夫が説明するが、実際に爆弾テロは発生しておらず作中での出来事だと思われる。

〇再放送されないエピソードの1つである。ジャニーズ事務所所属の木村拓哉氏が犯人役であるため、肖像権の管理関係から難しいのではないか?

〇ロケ地となった遊園地は『国営ひたち海浜公園(公式サイト)』である。

〇本来、爆発物処理のベテランとして呼ばれるはずだった左門が「ブリタニカ号の爆破事件で耳をやられてしまい」療養中である。これは映画『ジャガー・ノート』で登場する、爆弾が仕掛けられた豪華客船「ブリタニック号」のもじりである。また、最後に導火線のどちらを切るかの攻防も大いに影響を受けている。

刑事コロンボからのオマージュ

(1)おみくじクッキー
⇒刑事コロンボ42話『美食の報酬』

(2)事件解決方法
「今の聞いた(聞きました)」
「お聞きになりました(ああ)」
「君も聞いたね」

⇒刑事コロンボ27話『逆転の構図』
「今の目撃したね(ええ、しました)」
「今の行動ちゃんと目撃したね(はい)」
「君も今の彼の行動目撃したね」

(3)最年少犯人(大学生)、古畑は最後に動機を尋ね身勝手な理由で呆れる。
⇒刑事コロンボ56話『殺人講義』

よくよく考えると動機が矛盾している問題

『犯人の動機と脅迫電話を掛ける行為に矛盾がある』とコメント頂き、その点を考察した記事を書きました。

まとめ

当時23歳、木村拓哉氏が犯人役で登場する。他の犯人たちは会話を合わせる努力をしていますが、今回の犯人・林功夫はそっけない態度で冷めており、古畑任三郎を「おっさん」呼ばわりでした。

この作品の魅力はなんといっても『時限爆弾によるタイムリミット』がある点です。爆弾が仕掛けられた観覧車には部下・今泉慎太郎が乗っているため、古畑任三郎が急いで事件を解決しないといけないのです。

犯人視点から進む倒叙形式は「どうやって犯人が追い詰められるか?」の物語なのですが、これに、タイムリミットが加わることで、犯人の逮捕だけではなく「時間内に爆弾処理できるか?」というラストで2重のハラハラドキドキが加わるうまい脚本になっています。

なんといっても印象に残るのがラストであります。あの一件は、後日談『消えた古畑任三郎』において、林は古畑のことを暴力刑事だと思っていたようなのですが、あれがあったからこそ刑務所では模範囚になることができたと、目を覚ますきっかけにも繋がっているようです。

以上、『赤か、青か』でした。