古畑任三郎 17話『赤か、青か』観覧車に爆弾

【VS.電子工学部研究助手】「缶ジュースの自動販売機、どうしても欲しいものが2つあったとします。ホットコーヒーと烏龍茶、どっちを飲もうかって迷ってしまう時ってありますよね。そういう時はこうやって2つのボタンを同時に押す。すると無意識のうちに本当に欲しい方のボタンを先に押してしまうって言うんですが…まあ、お試し下さい。二者択一と言えば…」

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データ

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脚本:三谷幸喜

監督:関口静夫

制作:フジテレビ

演出:松田秀知

音楽:本間勇輔

本編時間:46分10秒

公開日:1996年1月31日

あらすじ+人物相関図

赤か、青か 人物相関図天神大学電子工学部研究助手・林功夫は、真夜中に遊園地『エキサイト・パーク』に侵入する。そして、観覧車に手製の時限爆弾を仕掛けたのだった。帰り際、自転車のカギを紛失したことに気が付き、しかたなくチェーンを切った所を見回りに来ていた警備員・真鍋茂に見つかってしまう。

顔を見られた上、自転車の防犯登録番号をメモされた。このままでは、爆弾を設置したのが自分だと怪しまれてしまう。持っていたマグライト(懐中電灯)で真鍋を撲殺したのだった。翌日、林は遊園地に脅迫電話を掛ける。時刻までに現金を用意しなければ観覧車を爆発するという内容であった。

警察の爆破処理班が到着し、爆発物のエキスパートとして協力依頼をされたのが林功夫だった。殺人事件の調査に来ていた古畑任三郎の部下・今泉は観覧車に乗っており、爆破のリミットまでに救出しなければならない。古畑は、林が殺人犯で爆弾を仕掛けた張本人だとすぐに見抜いたのだった。

人物紹介(キャスト)

林功夫 古畑任三郎

【©フジテレビビジョン『警部補 古畑任三郎「赤か、青か」より引用』】

今回の犯人:林功夫(はやし くにお)

役者:木村拓哉

職業:研究助手

殺害方法:撲殺(マグライト

動機:口封じ

概要:詳しく見る
天神大学電子工学部研究助手の男性。自身の研究室で時限爆弾を作り上げ、遊園地『エキサイト・パーク』内の観覧車に仕掛けた。しかし自転車のカギを紛失してしまい、しかたなくチェーンを切断した所を警備員・真鍋茂に見つかってしまう。顔も防犯登録番号も知られてしまったため、持っていたマグライトで撲殺した。

翌日、エキサイト・パークに「正午までに現金3000万円を用意しろ」と脅迫電話を掛けた。いつの間に仕掛けたのか?観覧車に爆弾を設置したことが嘘ではないと証明するために、チケット売り場を爆破させて見せた。

大学では主に電子工学を専門にしており、その応用で爆発物に関しても高い知識を持っている。そのため、療養中である警視庁の爆弾処理のベテラン・左門から推薦を受け、皮肉にも専門家として、自身が時限爆弾を設置した遊園地で古畑任三郎と一戦を交えることになった。

観覧車内に仕掛けた時限爆弾は、客が椅子に座った重みでスイッチが入る仕組みになっており、コード配線は「1989年ニューヨークのコロンバス・アベニューのテロで使われた爆弾と同じ」であると、解説していた。

移動手段は自転車である。天神大学の目の前に遊園地『エキサイト・パーク』があり、そこにも自転車で向かった。誰からも見つからないよう短時間で爆弾を設置する必要があるにも関わらず、几帳面にもチェーンにカギを掛け、挙句にカギを紛失して殺人に手を染める結果となってしまった。


真鍋茂 古畑任三郎

【©フジテレビビジョン『警部補 古畑任三郎「赤か、青か」より引用』】

今回の被害者:真鍋茂(まなべ しげる)

役者:金井大(かない だい)

職業:警備員

概要:56歳、警備員の男性。去年できた遊園地『エキサイト・パーク』で勤務しており、2時~3時の見回りの際、自転車のチェーンを切り落とす林功夫を発見する。自転車の盗難が多いため、防犯登録番号をメモしていたところ、マグライトで2回後頭部を殴られて撲殺された。老眼らしく、近くの物を見る際にはメガネを上にあげている。

犯行計画/トリック

【遊園地に時限爆弾を設置。翌日脅迫電話を掛ける】

①天神大学にある個人研究室で、夜間に手製の時限爆弾を作る。自転車で大学から遊園地『エキサイト・パーク』に移動すると、柵を乗り越えて侵入した。観覧車の中に入ると、座椅子の足元にある蓋を外し、中に時限爆弾を設置する。これは、重みが加わるとタイマーが作動する。

②自転車に乗って帰ろうとするが、カギを落としたことに気が付く。再び観覧車の中を探すが見つからない。しかたなくチェーンを切った所を、見回りに来た警備員・真鍋茂に見つかる。顔を見られた上、自転車の防犯登録番号をメモされてしまい、持っていた懐中電灯で爆殺した。

③翌日、エキサイト・パークに「今日の正午までに現金3000万円を用意しろ」と脅迫電話をかける。そして、見せしめにチケット売り場を爆発して見せた。警察の爆発処理班が到着すると、警視庁の爆弾処理のベテラン・左門が療養中であり、彼が推薦した林に協力依頼が入った。

推理と捜査(第2幕まで)

ネタバレ注意!表示する
〇被害者のメガネが上に上がっている状態で、何かを探していたのではないか。しかし、手の平は綺麗で地面には触れていないようだ。夜中にしゃがんで覗き込むように覗き込むのは、自転車の登録番号を見るためだ。切れたチェーンの一部も見つかった。

〇警備員殺しと爆弾事件は同一犯である。警備員は犯人を見たので殺害された。となると、爆弾が仕掛けられたのは2時~3時の間だ。その時間、地上に降りていたゴンドラは、1号機『太陽』の絵が描かれたゴンドラだ。そこに乗っていた客とは、今泉慎太郎だった。

〇爆発物のエキスパートとして林功夫が呼ばれた。彼は自転車に乗っていたが、チェーンでカギをしていなかった。また、勤務先の天神大学は遊園地から距離が近い場所にある。

〇今泉は爆弾処理をすることになり、爆弾の外見を電話越しに説明するが説明は酷い。警察の爆発処理班は図面に書き表すことができなかったが、林は正確に図面を書くことができた。

〇脅迫電話は「正午までに金を揃えておけ」と言っていた。受け渡しの段取りも決まっていないのに、いまだに連絡がない。犯人側に何かアクシデントがあり、電話を掛けられない特別な事情ができたと思われる。

視聴者への挑戦状

「えー、今回は緊急事態です。えー、犯人は間違いなく林君ですが、追い詰めるだけの証拠もなけらば時間もない。ここは1つ、罠を仕掛けるしか手がありません。そう。ブービートラップ。今日はちょっと見ててください。えー、古畑任三郎でした」

三幕構成

赤か、青か 人物相関図

小ネタ・補足・元ネタ

〇観覧車に仕掛けた爆弾は「1989年ニューヨークのコロンバス・アベニューのテロで使われた爆弾と同じ」と、林功夫が説明する。実際には爆弾テロは発生していない

〇本来、爆発物処理のベテランとして呼ばれるはずだった左門が「ブリタニカ号の爆破事件で耳をやられてしまい」療養中である。これは映画『ジャガー・ノート』で登場する、爆弾が仕掛けられた豪華客船「ブリタニック号」のもじりである。

再放送されないエピソードの1つである。ジャニーズ事務所所属の木村拓哉氏が犯人役であるため、肖像権の管理関係から難しいようだ。

〇ロケ地となった遊園地は『国営ひたち海浜公園(公式サイト)』である。

まとめ

当時23歳、木村拓哉氏が犯人役で登場したエピソードです。これはシリーズの中で1番若い犯人なんですね。他の犯人たちは会話を合わせる努力をしていますが、今回の犯人・林功夫の若者特有のそっけない態度は冷めており、古畑任三郎を「おっさん」呼ばわりです。また、極めて自己中心的な動機にはよほど頭に来たのか、古畑が唯一手を上げてビンタをするほどでした。

さて、この作品の魅力はなんといっても『時限爆弾によるタイムリミット』がある点なんですね。これにより、古畑任三郎が急いで事件を解決しないといけないんです。なぜなら、爆弾が仕掛けられた観覧車には部下・今泉慎太郎が乗っているのですから。

犯人視点から進む倒叙形式は「どうやって犯人が追い詰められるか?」の物語です。これに、タイムリミットが加わることで「時間内に爆弾処理できるか?」がプラスされるうまい脚本なんですね。ラストで2重のハラハラドキドキが加わりサスペンスが倍増されます。

なんといっても最後の『ビンタ』が凄いですね。後日談、『消えた古畑任三郎』においては、林は古畑のことを暴力刑事だと思っていたようです。しかし、あれがあったから刑務所では模範囚になることができたと、目を覚ますきっかけにも繋がったんですね。

以上、『赤か、青か』でした。

  1. 被害者を殴った凶器は石じゃなかったでしょうか?
    懐中電灯で殴り殺すのは相当な腕力がないと無理でしょうし、
    石で殴ったものだと思ってました。

  2. コメントありがとうございます!
    懐中電灯ではなく、マグライトの方が正しいかもしれません。加筆させていただきます。
    マグライトは懐中電灯よりも持ち手が長くなっており、海外の警備員は武器としても使用しています。このエピソードでは、リュックから取り出したマグライトで2度殴っていました。34話「哀しき完全犯罪」でも、女流棋士の犯人が夫を殺害する凶器として使用しております。