古畑任三郎 第3シリーズ6話(#33)『絶対音感殺人事件』あらすじと解説

古畑任三郎 33話 絶対音感殺人事件

『絶対音感殺人事件』なんて1度聞いたら忘れられない、声に出して読みたい、非常にキャッチーなタイトルです。「絶対音感を持つ指揮者が殺人を起こす」というプロットのアイディアは前々からあったようで、#24『しばしの別れ』や#29『忙しすぎる殺人者』でもセリフの中で登場していました。

スポンサーリンク

データ

脚本:三谷幸喜
監督:関口静夫
制作:フジテレビ
演出:佐藤祐市
音楽:本間勇輔

本編時間:46分16秒
公開日:1999年5月18日

あらすじ+人物相関図

古畑任三郎 絶対音感殺人事件指揮者 ・黒井川尚(市村正親)は、楽団のビオラ奏者・滝川ルミ(街田しおん)と交際関係にあったが、彼女から別れを切り出され思わず灰皿で撲殺してしまう。階段から転落死したように偽装すると、その夜の演奏会の指揮者として式台に立った。演奏を聴いていく中、クラリネット奏者・石森が自分と同じ指を怪我していることを絶対音感により聴き分ける。その指の怪我は、被害者の部屋にあったワインオープナーによる傷であり、石森が彼女の新しい恋人と確信した黒井川は彼に罪を擦り付けたのだった。

人物紹介(キャスト)

今回の犯人:黒井川尚(くろいかわ なお)
役者:市村正親(いちむら まさちか)

概要:『甲陽フィルハーモニー』指揮者の男性。家庭をもっていながら、楽団のビオラ奏者・滝川ルミと愛人関係にあった。別れを告げられるが未練タラタラであり、思わず灰皿を掴むと撲殺。階段からの転落死に偽装するが、古畑任三郎から追及されるとクラリネット奏者・石森に罪を擦り付けた。

絶対音感を持っており、机の叩く音、今泉のオデコを叩く音、車のクラクションなどを音階で示すことができる。他にも指に負った傷の具合から、絆創膏をしているため音の響きが弱くなっている可能性を指摘するなどかなり高度に分析できる音感を保持している。


今回の被害者:滝川ルミ
役者:街田しおん

概要:ビオラ奏者の女性(26歳)。「甲陽フィルハーモニー」の指揮者・黒井川尚と愛人関係にあったが別れを告げた。アパート暮らしであり、部屋番号は201号室であった。黒井川によると、ショパンが好きだった様子。ペットとして熱帯魚を飼っていた。

小ネタ・補足・元ネタ

〇クラリネット奏者・石森を演じたのは、『橋本さとし』である。

〇作中で利用された楽曲一覧

冒頭『亡き王女のためのパヴァーヌ』
偽装工作時『クープランの墓』
演奏会『ボレロ』
古畑が思い出せない曲を言う西園寺/黒井川『エリーゼのために』
被害者のお別れ会のBGM『エチュード Op.10-3 ホ長調(別れの曲)』
古畑が思い出せない曲を言う黒井川『パガニーニによる大練習曲』第3番嬰ト短調「ラ・カンパネラ」
今泉がクラリネットで演奏した曲メロディー的に『越冬つばめ』だと思われる
黒井川の収録時の曲『交響的物語 ピーターと狼』
古畑が思い出せない曲ドリフターズ『真っ赤な封筒』

刑事コロンボからのオマージュ

(1)指揮者が犯人。被害者を灰皿で殺害し、ペットの金魚も死ぬ。被害者に好意を寄せる楽団員に罪を擦り付ける。そして最後には加藤茶の芸『カトチャンペッ』のマネをして鼻に手を当て退場する。

10話「黒のエチュード」
指揮者が犯人。被害者を灰皿で殴り気絶させると、ガス自殺に偽装してペットのインコが死ぬ。被害者に好意を寄せる楽団員が疑われる。最後は犯人が指揮棒を額に当てて退場する。

まとめ

#29『忙しすぎる殺人者』では「絶対音感を利用して殺人を犯す男の話」とのセリフがありますが、蓋を開けてみると「絶対音感があることで古畑から疑われる話」になっています。

犯人役に舞台俳優として活躍する『市村正親』氏をゲストに迎え、テレビ俳優とは違った個性的な犯人像が印象に残りました。チャーミングな犯人とのやりとりが大好きです。子供のためのオーケストラを企画したり、愛人には甘えん坊な側面を見せたり、ラストに古畑が分からないでいた曲が入ったカセットを渡し退場するシーンは、子供心を忘れないユーモラスな犯人なのだと感じました。

刑事ドラマとしての推理パートだけではなく、古畑任三郎が思い出せない曲、今泉慎太郎の音楽知識など、ギャクパートに大きく時間が配分されているのが特徴的であり、『犯人は犯行後になぜ水槽の電源を切ったのか?』という謎が最後に明かされる理由も良いですね。

古畑任三郎のエピソードの中でも個人的には大好きな作品でした。

以上、『絶対音感殺人事件』でした。

  1. こんにちは。「演奏を聴いて奏者の身体の異変に気づく」というロジックですが、名作「犬神家の一族」でも、琴の稽古の合間に人を殺した犯人が、師匠に音色の違いで(犯行時に負った)指のケガに気づかれ、証言されるというシーンがあります。ロジック自体は古典的かもしれませんが、オーケストラの中から聴き分けるのと組み合わせるところが心憎い、と勝手に思ってます

  2. 花畑様
    >>「演奏を聴いて奏者の身体の異変に気づく」というロジック
    >>「犬神家の一族」
     『犬神家』のそのシーンは忘れてしまっていました。古畑はここからオマージュを受けたのですね。

    >>オーケストラの中から聴き分けるのと組み合わせるところが心憎い
     西洋楽器と和楽器の対比ですね!

タイトルとURLをコピーしました