古畑任三郎 第2シリーズ最終回(10話)『ニューヨークでの出来事』安楽椅子探偵

古畑任三郎 23話 ニューヨークでの出来事
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シーズン2の最終話である。舞台はニューヨークであるが、物語は夜行バスの車内で繰り広げられる。事件も鈴木保奈美」氏が演じるのり子・ケンドールの口から語られる会話劇となっている。エンドロールでは、朝靄の中に『世界貿易センタービル』が映し出される。今作品は1996年の放送であり、5年後にはこのビルは『9.11テロ事件』の標的となる。

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データ

脚本:三谷幸喜
監督:関口静夫
制作:フジテレビ
演出:河野圭太
音楽:本間勇輔

本編時間:45分55秒
公開日:1996年3月13日

あらすじ+人物相関図

古畑任三郎 ニューヨークでの出来事 人物相関図

古畑任三郎(田村正和)と今泉慎太郎(西村雅彦)は、結婚式を終えた小石川ちなみを訪ねて渡米していた。ニューヨーク行のバスの車内で、2人は日本人乗客の女性(鈴木保奈美)を見つけて声を掛ける。女性は鵜飼と名乗り、徐々に古畑たちと打ち解けていった。

のり子は、古畑たちの職業が刑事だと知る。「私に言わせれば、世の中に解けない謎なんてありませんよ。人間が作った謎です。人間が解けなくてどうすんですか」そう豪語する古畑に対し、彼女は完全犯罪で人を殺したことがあると話し始めたのだった。

人物紹介(キャスト)

今回の犯人:のり子・ケンドール
役者:鈴木保奈美

概要:未亡人の女性。小説家ネルソン・ケンドールと結婚をしていたが、彼が10年間に渡りカドベリーに住む未亡人と不倫関係にあったことを知り殺害を決意する。猜疑心が強く、レディーファーストである彼の心理を利用したトリックで殺害した。


今回の被害者:ネルソン・ケンドール
役者:????

概要:恋愛小説家の男性。ヒット作は『CADBURY IN THE TWILIGHT』(カドベリー・イン・ザ・トワイライト)である。彼の死後に出版され純愛小説のバイブルとされた。

小ネタ・補足

〇古畑任三郎たちは、『小石川ちなみ』を訪ねてアメリカに訪れていた。小石川ちなみは、第1話『死者からの伝言』の犯人である。第2シーズン1話『しゃべりすぎた男』では、ちなみを無罪にした弁護士が犯人として登場する。5話『動機の鑑定』では、ちなみは結婚をした様子。全ては最終話『ニューヨークでの出来事』への布石であった。

〇被害者の身長に関して「小説のポートレイトでは大男になるように写っていたが、実際は奥さんより身長は低かった」と台詞がある。ちなみに、のり子・ケンドールの役者である鈴木保奈美氏の身長は160㎝である。

〇生地に餡を包み込んだ和菓子として『今川焼』が登場した。地方によっては『大判焼き』『あじまん』と呼ばれている。

今後考察したいポイント

〇のり子・ケンドールが、最初に古畑たちに『鵜飼』と名乗っておりこれが旧姓だと思われる。30話『灰色の村』では、村役場助役の苗字が同じく『鵜飼』であり彼が父親なのではないかと妄想している。

まとめ

安楽椅子探偵Armchair Detective-アームチェア・ディテクティブ-)というジャンルの作品になります。探偵は犯行現場に一度も立ち入らず、部屋の一室で安楽椅子に座りながら事件の一端を聞いただけで事件を解決する非常に言語的な作風になのです。

このエピソードで魅力は、推理と分析を堪能できるという点だと思います。バスの車内で繰り広げられる会話劇であり、犯人側の些細な証言から倫理的思考を張り巡らせるのです。過度な演出や殺害シーンもなく、単純に謎に挑むという醍醐味を味わうことができました。

完全犯罪を成し遂げた女性が語り手というものユニーク掴みです。事件を語るのが犯人である以上、証言に嘘が含まれている可能性も含まれます。会話の矛盾、どこで嘘をついていたのか。古畑が仕掛ける罠という脚本の上手さが光りました。

また、ラストシーンのカットが美しかったです。夜行バスはニューヨークに到着し、バスから降りると暖かな日差しが目に刺さる。朝靄が広がる雑踏の中へ彼女は静かに微笑みながら去っていくのだ。

以上、『ニューヨークでの出来事』でした。

引用・参考文献

●北村薫『空飛ぶ馬』東京創元社、1994年
●ハリイ・ケメルマン/永井淳・深町眞理子(翻訳)『九マイルは遠すぎる』 早川書房、1976年

  1. 今川焼では無く、○○では?
    ○○を食べることに抵抗があって、○○に毒を・・・
    記憶 違いかな?

  2. なつこ様
    ≫今川焼では無く、○○では?
     ごめんなさい!書き方に問題がありました。犯人の語りを尊重し今川焼にしています。
    なつこ様の記憶は正しいです。

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