安斎亨が誰かを殺そうとしているが、一体どのような方法で実行しようとするのか伏せられた状態で進みます。倒叙形式の構成上『冒頭で犯行が起き事件が解決される』という、視聴者の先入観を逆手にとった演出なんですね。
データ
脚本:三谷幸喜
監督:関口静夫
制作:フジテレビ
演出:河野圭太
音楽:本間勇輔
本編時間:46分07秒
公開日:1999年5月11日
あらすじ+人物相関図
旧友の小説家・安斎亨(津川雅彦)の別荘に招待された古畑任三郎は、特に親しいわけではないのに招かれたことに疑問を抱いていた。FAXで送られてきた招待状を安斎に見せるが、妻・香織(三浦理恵子)が送ったのではないかと否定し、香織にも確認をするのだがこれも否定されてしまう。そんな中、古畑と安斎は離れにある仕事場で会話をしていると、安斎の担当編集者・斎藤秀樹と香織が不倫している目撃する。今に始まったことではないと呟く安斎だが、その裏で計画は着々と進行しているのだった。
人物紹介(キャスト)
今回の犯人:安斎亨(あんざい とおる)
役者:津川雅彦
概要:小説家の男性。自分よりもずっと若い女性・香織と結婚しているが、彼女は愛想を尽かせており、担当編集者・斎藤秀樹と度々不倫を繰り返しているのを把握している。13分32秒~40秒のシーンでは、離れの仕事部屋に移動する際に、斎藤から挨拶をされるが無視。彼の傍にいた西園寺くんからの挨拶のみに挨拶を返すなど、露骨に差別している描写がある。
旧友の古畑任三郎を別荘に招待するとその裏で着々と準備を進める。特に親密な関係ではなかったようで、最後に会ったのが5年前。『小石川ちなみ事件』で犯人のペット・万五郎を預かってくれるように頼まれた時であった。古畑が数々の事件を解決しているということは知っていた。
小ネタ・補足・元ネタ
○※2023年3月頃より権利上の都合により再放送されなくなっている。詳しくは⇒(こちらから)
〇安斎香織を演じたのは、「三浦理恵子」氏。編集者・斎藤秀樹を演じたのは、「細川茂樹」氏である。
○安斎香織がカラオケ機器で歌った曲は、アン・ルイス『六本木心中』
〇西園寺くんがカラオケ機器で歌った曲は、斉藤由貴『卒業』である。
〇安斎亨の最新作『カサノバ99』は、『月間カドマツ』の書評で取り上げられていた。22話『間違えられた男』の犯人・若林仁は、月間カドマツの編集長であった。逮捕後も出版が続いているか、22話以前のエピソードということになる。
〇25分08秒のFAXの受診用紙を確認すると、安斎の別荘の住所は『〒399-9553 長野県北〇納郡群美草村1800』にあるようだ。
〇06分10秒~安斎「例の冒険家の誘拐事件」と古畑任三郎の扱った事件を語るが、シリーズ中にこのエピソードが登場することはなかった。
まとめ
2019年4月15日に発売された『週刊現代』は、刑事コロンボについて語った三谷幸喜氏の鼎談記事が載っていました。鼎談に参加された「町田暁雄」氏によると、ページの都合上文章はカットされたようですが、三谷幸喜さんが理想とした作品とは何かとの問いに、「殺人事件が起きる前に探偵が事件を解決する」という、この作品を意識したような解答があったそうです。
普段はあまり多くを語らない古畑だが、今までの被害者に対する思いを打ち明ける。相棒シリーズだと、杉下右京がよく犯人の犯行に対して怒ったりしているが、気持ちを表すシーンが少ない古畑が心情を話すと心に残りやすくなります。
作中に、古畑任三郎が人生ゲームで遊ぶ場面がありました。しかし、何度も『振り出しに戻る』のマス目に止まってしまいます。ラストの展開を見ると、「人生は何度でもやり直すことができる」という重要な演出意図があったのだと気が付かされました。
以上、『古い友人に会う』でした。
小早川ちなみw
ありがとうございます。修正させていただきました!