1968年~2003年まで放送された、刑事コロンボのエピソード69作品の一覧になります。45話までを『旧コロンボ』45話以降は『新コロンボ』と、ファンの間では分けられております。ここでは、邦題と原題を記載し、原題に関しては日本語訳も表記しています。
- 単発(1968年)
- パイロット版(1971年)
- 第1シーズン(1971年 – 1972年)3話~9話
- 第2シーズン(1972年 – 1973年)10話~17話
- 第3シーズン(1973年 – 1974年)18話~25話
- 第4シーズン(1974年 – 1975年)26話~31話
- 第5シーズン(1975年 – 1976年)32話~37話
- 第6シーズン(1976年 – 1977年)38話~45話
- 第7シーズン(1977年 – 1978年)41話~45話
- 新・刑事コロンボ 第8シーズン(1989年)46話~49話
- 第9シーズン(1989年 – 1990年)50話~55話
- 第10シーズン / 単発作品(1990年 – 2003年)56話~69話
単発(1968年)
1.『殺人処方箋』
”Prescription:Murder”=「処方箋:殺人」
精神分析医のレイ・フレミングは、患者である若い映画女優ジョーン・ハドソンと愛人関係にあった。資産家の妻キャロルは、不倫関係を疑い離婚すると話す。その上で、このスキャンダルを大々的に公表するという。もしこれが公表されれば、レイは現在の地位を失ってしまう。彼は自宅でキャロルを殺害。愛人ジョーンと共謀し、それを強盗殺人に偽装したのだった。
パイロット版(1971年)
2.『死者の身代金』
“Ransom for a Dead Man”=「死者のための身代金」
弁護士レスリー・ウィリアムスは脅迫文書を作成し、帰宅した弁護士会会長の夫ポールを銃で殺害。その遺体を海へ遺棄した。そして、夫を誘拐したという脅迫文書を自分宛に送り、架空の誘拐事件を作り上げた。FBI主導の監視下のもと、直前で身代金の入っていないバッグにすり替え、存在しない犯人に支払ったように偽装する。やがて夫の遺体は発見され、犯人不明のまま身代金は戻らないという筋書きを完成させたのだった。
第1シーズン(1971年 – 1972年)3話~9話
3.『構想の死角』
“Murder by the Book”=「本による殺人」
ジェームス・フェリスとケン・フランクリンは、コンビのミステリー小説家だ。彼らの推理小説は全てがベストセラーなのだが、実際に執筆するのはフェリスであり、ケンは一行も執筆をしていない。フェリスは新しい分野の作品に挑戦をしたいとコンビ解消を伝える。ケンはフェリスを、別荘のあるサンディエゴへ誘導し、お互いにかけた生命保険目当てで殺害した。計画は完璧であったが、その後、別荘近くにある雑貨店の女店主リリーに事件を目撃したと迫られ第2の殺人を行う。
4.『指輪の爪あと』
“Death Lends a Hand”=「死のレンズを手に」
探偵会社を経営するブリマーは、有力新聞3社を運営する大物財界人アーサー・ケニカットから、年下の妻レノアの素行調査を依頼された。調査の結果、浮気の事実はないと伝える。しかし実際にはレノアは浮気をしており、口止めの見返りとして新聞会社に集まる情報を求めたのだった。その夜、レノアは夫へ浮気の事実を白状するという。また、ブリマーの脅迫行為も話すと伝えた。脅迫の事実が明るみになってしまえば、探偵会社としての信用は失ってしまう。ブリマーは思わず婦人を殴ってしまうと、彼女はガラスのテーブルに頭を打ちつけて死んでしまったのだった。
5.『ホリスター将軍のコレクション』
“Dead Weight”=「死の碇」
退役軍人のホリスター将軍は、建設会社を経営し海軍と取引をしていた。しかし実態は、軍の調達部であるダットン大佐と組み、架空の経費を計上して軍の資金を横領していたのだった。しかし、軍で特別監査が行われることになり、契約の再チェックが行われれば、二人の不正は明るみになってしまう。怯え切ったダットンは国外へ逃亡すると伝えるが、ホリスターは彼の口から不正の情報が洩れることに恐れ、自宅で彼を射殺したのだった。
6.『二枚のドガの絵』
“Suitable for Framing”=「ふさわしい構想」
美術評論家デイル・キングストンは、絵画収集家の叔父ランディ・マシューズを、彼の自宅で射殺した。共犯のトレイシーが来ると、デイルはアリバイ作りのため新人画家のパーティーへ向かう。その間、彼女は自宅に留まり、警備員の巡回時間になると2階の部屋から外に向けて銃を撃った。そして、遺体から電気毛布を外し、急いで外へ逃げだした。警備員が自宅内に入ると、裏口の扉から走り去る靴音だけが聞こえた。絵画と部屋が荒らされ、横たわるランディがいた。遺体はまだ暖かく、たった今殺人が起きたと判断をしたのだった
7.『もう一つの鍵』
“Lady in Waiting”=「待ち伏せする女性」
大手広告代理店の社長であるブライス・チャドウィックは、妹であるべスの行動を抑制していた。彼女は身勝手で、考えず行動してしまう節があるからだ。そのことがべスには不満であった。また、べスの恋人は会社の法律顧問ピーターだった。ピーターがべスと交際するのは、財産と権力の為と決めつけ、ブライスは分かれるように通達した。これを境にべスは、兄の殺害を実行。彼女の考えた殺人計画とは、正当防衛を理由に法的に無罪を勝ち取ることであった。
8.『死の方程式』
“Short Fuse”=「短気な奴」
スタンフォード化学工業初代社長の息子ロジャー・スタンフォードは、現社長である父の妹の婿デビット・バックナーと敵対していた。バックナーは会社を身売りする計画を立てていたからだ。会社の金を研究と遊びに使い込み、ギャンブルやドラッグ、車泥棒までもやっていた事実を掴んでおり、それをネタに会社から追い出すとちらつかせる。バックナーがいなくなれば不正が明るみに出ることはなく、また自身が社長になることで会社を身売りせずに済む。ロジャーは手製の起爆爆弾をバックナーの葉巻ケースに仕掛ける。彼が会議に向かう途中で車ごと爆殺したのだった。
9.『パイルD-3の壁』
“Blueprint for Murder”=「殺人の青写真」
建築家エリオット・マーカムは、実業家ボー・ウィリアムソンの妻ジェニファーと、近未来の住宅都市となる「ウィリアムソン・シティ」の建設プロジェクトに取り組んでいた。しかし、帰国したボーは出資を拒否する。建設を続けたいマーカムは、ボーを彼の牧場で待ち伏せし銃を突きつけ牧場の道具小屋へと追いやった。工事の着工記念式典の日、警察のコロンボへ「ウィリアムソン夫人から電話が入った」と、工事現場へ現れる。その報告者とは、前妻ゴールディからの通報であり、夫が行方不明になったという内容であった。
第2シーズン(1972年 – 1973年)10話~17話
10.『黒のエチュード』
“Etude in Black”=「黒のエチュード」
南カリフォルニア交響楽団の指揮者アレックス・ベネディクトは、楽団のピアニストのジェニファー・ウェルズと愛人関係にあった。彼女はこのことを公表するか、離婚を迫っていたのだ。アレックスの妻であるジェニスの母親リジ―・フェイルディングは楽団の理事長であり、離婚することで支持を失えば楽団からの追放を意味していた。ロスでのコンサートの当日、楽屋から抜け出したアレックスは、ジェニファーの自宅に向かう。ジェニファーを灰皿で殴り気絶させキッチンへ運び出す。ガス栓を開くと、用意していた遺書をタイプライターへセットし現場を後にした。彼女はガス自殺したように偽装をしたのだった。
11.『悪の温室』
“The Greenhouse Jungle”=「温室のジャングル」
蘭の収集家ジャービス・グッドウィンは、甥のトニー・グッドウィンから何とかして、資産家であった亡き兄の財産を引き出すことができないかと相談を受ける。信託財産として銀行が管理しており、自由に金を引き出すことができない状況にあったからだ。ジャービスは狂言誘拐を計画、トニーは共犯となり誘拐されたように見せかけた。身代金として、2人は信託財産を引き出すことに成功した。その後、ジャービスは彼を射殺。身代金をまんまと独占したのだった。
12.『アリバイのダイヤル』
“The Most Crucial Game”=「最も重要なゲーム」
フットボールチームのゼネラル・マネージャーであるポール・ハンロンは、ワグナー・スポーツの2代目社長エリック・ワグナーの殺害を計画していた。「世界最大のスポーツ大国の実現」という亡くなった初代社長の夢を達成したい。そのためには無能なうえ、やる気のないエリックを殺害し会社を乗っ取ることで、さらなる事業拡大という野心があったからだ。フットボールの試合中にボックス席から抜け出したポールは、電話を使ったトリックを用いて自身のアリバイを作り、プールで泳いでいたエリックを氷塊で殴り気絶、溺死させる。プールでの事故死に偽装したのだった。
13.『ロンドンの傘』
“Dagger of the Mind”=「心の短剣(舞台劇:マクベスからの引用)」
落ち目の俳優夫婦ニコラス・フレイムとリリアン・スタンホープは、イギリスの大物演劇プロデューサーであるサー・ロジャー・ハビシャムを色仕掛けで口説き落とし、彼をスポンサーにし『マクベス』の上演を決めた。しかし、開幕前夜にロジャーが2人の楽屋に怒鳴り込んできた。自分を利用していたことを知り、舞台の中止を宣言する。楽屋から出ていく彼を止めようと揉み合いになると、リリアンがとっさに投げた化粧瓶により誤って殺害してしまったのだった。ここで事件が発覚すれば、せっかく掴んだチャンスをここで手放してしまう。2人は彼の自宅まで車で向かい、階段からの転落死に偽装したのだった
14.『偶像のレクイエム』
“Requiem for a Falling Star”=「落ちぶれたスターへのレクイエム」
ハリウッドを代表していた女優ノーラ・チャンドラーは、映画撮影に金をつぎ込んでいたが、多額の損失を出していた。だが帳簿を不正に操作することで、負債は撮影所に押し付けていたのだった。このことを芸能コラムニストのジェリー・パークスに掴まれてしまう。その晩ノーラは、ジェリーが書店でサイン会をしている間に、彼の自宅に向かいガレージにガソリンを撒いた。ジェリーの車が戻ってくると火をつけ、車ごと爆発させた。彼の車に乗っていたのは自分の秘書のジーンであった。秘書の死を聞き、ノーラはその場に泣き崩れてしまった。
15.『溶ける糸』
“A Stitch in Crime”=「犯罪の縫合」
心臓外科医バリー・メイフィールドは、心臓外科の権威であるハイデマン博士と、新薬の研究に取り組んでいた。そんなある日、ハイデマンは持病の心臓発作により病院に運ばれる。メイフィールは手術の準備を進めた。無事に手術は成功したかに思えた。しかし、看護師のシャロン・マーティンシャロンが手術台の下にある縫合糸が落ちているのを見つける。メイフィールドは、吸収性の糸で縫合をしていたのだった。糸が溶けると、表向きには心臓麻痺で死んだように見える。シャロンは、電話で糸の分析を依頼し帰宅しようとする。そこを待ち伏せしていたメイフィールドは、彼女を撲殺したのだった。
16.『断たれた音』
“The Most Dangerous Match”=「最も危険な試合」
チェスの世界チャンピョンであるエメット・クレイトンは、病気で引退した元・世界チャンピョンのトムリン・デューディックとの直接対決がロサンゼルスで行われることになった。これは、事実上の世界一決定戦であり、世界中の注目を浴びていた。対決の前夜、2人はレストランで同席する。そこで、チェスの手合わせをすると、デューディックが圧勝してしまう。観衆の前で惨敗するのを恐れたクレイトンは彼の殺害を決意したのだった。
17.『二つの顔』
“Double Shock”=「2つの衝撃」
老いた資産家のクリフォード・パリスは、若い娘リサ・チェンバースと婚約を結ぶことが決まっていた。翌日が結婚式だと聞いた料理研究家である甥のデクスター・パリスは、結婚祝いを言うために屋敷に立ち寄り後にする。トレーニングを終えたパリスは風呂に入り汗を流していると、自宅へ帰ったはずのデクスターが現れる。プレゼントを渡し忘れたと電動ミキサーをプラグを差し込み、それを浴槽に投げ込みパリスを感電死させた。その後、リサはトレーニングウェア姿のパリスが死んでいることを発見する。当初はトレーニング中の心臓麻痺かと思われたが、コロンボの捜査により殺人の可能性が見られた。遺産を相続するデクスターに捜査の目を向けようとするが、そこに現れたのは一覧双生児でまったく同じ外見をした銀行員の兄ノーマン・パリスだった。
第3シーズン(1973年 – 1974年)18話~25話
18.『毒のある花』
“Lovely but Lethal”=「素敵だが致命的」
化粧品会社社長のビベカ・スコットは、秘書からある報告を受ける。男がクリームの分子式を売り込みにきたということだ。サンプルを老婆に塗って見せると、瞬く間にシワが消え去った。ビベカは心当たりのある人物を思いつく、元恋人の研究員カール・レッシングだった。ビベカは彼の自宅に赴き、そのクリームの分子式を買い戻す交渉を行う。カールは1度は了承したように見せて、それを拒絶。彼女に、女性としての魅力などはすでに感じていないと嘲笑った。これは、別れを告げられた彼の復讐だったのだ。ビベカは逆上し、近くにあった顕微鏡を掴むと彼を撲殺した。
19.『別れのワイン』
“Any Old Port in a Storm”=「古いポートワインはみんな嵐を越えて来ている」
ワイン製造会社の経営者エイドリアン・カッシーニには、腹違いの弟でワイン製造会社のオーナーでもあるリック・カッシーニがいた。リックはワイナリーを、大量生産の大手酒造メーカーに売却すると伝える。ワイン造りに人生を捧げてきたエイドリアンにとってそれは許すことはできなかった。激怒したエイドリアンは近くにあった電話機を掴むと、リックを殴りつけ気絶させる。そして、手足を縛りつけるとワインセラーの中に入れ空調を切った。ニューヨークでのワイン品評会に1週間滞在すると、その間リックは窒息死した。帰国すると、リックの遺体をスキューバダイビングの衣装に着替えさせ海に遺棄する。ダイビング中に頭を打ち溺死した事故に偽装したのだった。
20.『野望の果て』
“Candidate for Crime”=「犯罪立候補」
上院議員候補者のネルソン・ヘイワードは、「組織犯罪の撲滅」を公約に掲げ選挙を戦っていた。そんな彼のもとに脅迫状が届き、組織が暗殺を狙っていると注目を集めた。しかし、選挙参謀のハリー・ストーンが有識者の指示を集めるために仕組んだ「やらせ」だった。ハリーはネルソンに、選挙運動中は愛人であるリンダは邪魔になると、関係を終わらせるように強要する。ネルソンはそれを受け入れ、直接リンダに会いに説明すると伝える。その為には警察の護衛をかいくぐらなければならない。そこでハリーに自分の帽子と上着を着せて変装させる。ハリーが警察の護衛を車で振り切ってネルソンの別荘に到着すると、そこには先回りしていたネルソンが待ち伏せしていた。彼を射殺すると、犯罪組織にネルソンと間違って殺害されたという筋書きが完成したのだった。
21.『意識の下の映像』
“Double Exposure”=「二重露出」
意識調査の専門家であるバート・ケプル博士は、人の動きや意識を調べ、それを効果的に宣伝に利用する会社を経営していた。しかし一方では会社のキャンペーンガールを使い、男性顧客の弱みを握り、脅迫するという悪行も重ねていた。これに、産業会社社長のビック・ノリスも罠に掛かってしまった。だがビックは脅しに屈せず、脅迫の事実を暴露すると話し関係を断ち切ろうとしていた。これが明るみになってしまう前に、ケプルは口封じのための殺害を計画する。その殺人計画とは、試写会中にビックの潜在意識に働きかけることであった。
22.『第三の終章』
“Publish or Perish”=「出版か戦死」
出版社社長ライリー・グリーンリーフは、小説家アラン・マロリーに売ることだけを目的とした官能小説ばかりを書かせていた。マロリーは自分の書きたい作品を小説を書くために、出版契約が切れるのを機会に別の出版社との契約を検討していた。そのことに不快感を示したグリーンリーフは、ベトナム帰還兵の爆弾マニアであるエディー・ケーンに殺害を依頼する。その間、グリーンリーフはわざと車同士の接触事故を起こす。その後、泥酔のまま警察に補導され鉄壁のアリバイを作り上げた。後日、エディーを爆殺すると彼に全ての罪を擦り付けたのだった。
23.『愛情の計算』
“Mind Over Mayhem”=「精神は大混乱」
シンクタンクの所長マーシャル・ケイヒルの元に、同僚のハワード・ニコルソン教授から手紙が入った。それは、マーシャルの息子ニールの研究が盗用であるというものだった。ニールの受賞を辞退するように説得する。また、説得しなければこの事実を暴露すると宣言した。だがマーシャルは息子を溺愛している。不正発覚を恐れて、ロボットを使用したアリバイ工作を行い、ハワードを殺害したのだった。
24.『白鳥の歌』
“Swan Song”=「白鳥の歌」
人気カントリー・ミュージシャンのトミー・ブラウンは、妻エドナ・ブラウンに弱みを握られていた。エドナは新興宗教に心酔しており、歌手としての収益金は全て礼拝堂の建築費につぎ込まれていた。そこでトミーは、小型飛行機での移動中の事故に見せかけて殺害する計画をくわだてる。その晩の天候が悪いと調べたうえで、睡眠薬入りのコーヒーを飲ませた。2人が眠ったことを確認すると、自身にパラシュートを装着し、運転する小型飛行機から脱出した。後日、航空局が飛行機を操縦中の事故として捜査を開始することになるのだが、そこにボロボロの車に乗ったヨレヨレのレインコートを着た男が現れて……
25.『権力の墓穴』
“A Friend in Deed”=「名実共に友」
警察本部次長マーク・ヘルプリンは、隣家の友人ヒュー・コードウェルが妻のジャニスが浮気相手のところを行くことを知り、カッとなり首を絞めて殺害してしまったと話す。マークは彼に指示を与えアリバイ工作を行う。その後、マークは自宅に戻ると、妻マーガレットとの会話中にテラスに出る。そして、たったいまヒューの自宅から男が逃げ去っていったとでっちあげ警察に連絡を入れた。ここ数週間で物盗りが多発しており、寝ようとしていた彼女が物音を聞いてリビングに行ったところ殺害されたという筋書きを完成させた。翌日、マークは記者会見を行い、自分と妻が犯人の目撃者であると公表する。そのうえで、マークは入浴中のマーガレットを浴槽に沈めて溺死させる。顔を見られた物盗みが、今度はマーガレットを殺害したというシナリオをヒューに話す。今度は自分に協力するように脅しかけたのだった。
第4シーズン(1974年 – 1975年)26話~31話
26.『自縛の紐』
“An Exercise in Fatality”=「致命的な運動」
健康クラブのオーナーであるマイロ・ジェナスは、各地にチェーン店を展開していた。しかし、実態は詐欺まがいの方法で多額の利益を上げていたのだった。それを、クラブの支店長であり元国防相監査役であったジーン・スタッフォードに見抜かれてしまう。彼は不正の証拠を掴むと、詐欺にあった人々を集めて大々的にマイロを告訴するという。発覚を恐れたマイロは、ジーンを鉄パイプで絞殺する。遺体をトレーニングウェアに着替えさせて首にバーベルを落とした。その後、電話の録音機を使いジーンが生きているように偽装したうえで、自身の鉄壁のアリバイを作った。後日、ジーンはトレーニング中に誤ってバーベルが首に落下して事故死したという筋書きが完成したのだった。
27.『逆転の構図』
“Negative Reaction”=「否定的な反応(ネガティブ・リアクション:写真のネガと掛けた?)」
高名な写真家ポール・ガレスコには、悪妻フランシス・ガレスコがいた。彼女は支配欲が強く、独善的でわがままであり、ポールはいいように使われている。そんな妻に対して、殺意を芽生えていたポールはとうとう殺人を実行する日がやってくる。かつて撮影で知り合った、前科者アルヴィン・ダシュラーに別荘として購入する農家を探させた。そこで、フランシスを射殺する。その後、アルヴィンに妻が誘拐されたと、脅迫文書を手渡す。これ彼の指紋が付いた。口封じのため彼を射殺すると、自分の太ももにも銃を発砲する。誘拐犯人から銃を撃たれ、正当防衛で射殺したシナリオが完成したのだ。
28.『祝砲の挽歌』
“By Dawn’s Early Light”=「夜明けの光によって」
陸軍幼年学校校長ライル・C・ラムフォード大佐は、学校の理事であるウイリアム・ヘインズの殺害を計画していた。ウイリアムは学校の経営は赤字続きであるため、陸軍学校を閉鎖して、男女共学の短期大学に作り替えようとしているからだ。ラムフォードは早朝に、砲弾の火薬を爆発力が強い物に詰め替える。そして、グラウンドに設置されている大砲の砲口に布を詰め込んだ。今日は開校記念日であり、この大砲で祝砲を放つのである。式典の前、ラムフォードは言葉巧みにウイリアムを挑発。「自分が式典を仕切る」と言わせるように誘導した。式典が始まり、祝砲の為に大砲を撃つウイリアムは、大砲と共に爆死した。古い大砲であり事故が起きる可能性も高かった。事件は事故として捜査が進んだ。
29.『歌声の消えた海』
“Troubled Waters”=「問題のある航海」
中古車ディーラーのヘイドン・ダンシガ―は妻シルヴィアと招待客と共にメキシコへの船旅をしていた。しかし、密かに殺人計画を企てていた。相手はショーガールのロザンナ・ウェルズでかつて愛人関係にあった女性である。彼女は愛人関係の口止め料として金銭を要求し、もし断れば妻に告発するという。ヘイドンは汽船をよく利用しているため船内の構造を熟知している。わざと薬を吸い込み擬似的な心臓発作を起こし、医務室で30分おきに血圧が測定されることになる。ディナーショーの時間になるとヘイドンは医務室から抜け出して、マスターキーで乗務員専用通路を使ってロザンナの部屋まで向かう。衣裳替えに来た彼女を待ち伏せして射殺した。そのうえで、ロザンナに惚れているバンドマンのロイドに殺人の疑いが向くように偽装する。犯行時刻は医務室で休んでいるというアリバイを完成させたのだった。
30.『ビデオテープの証言』
“Playback”=「再生」
ミダス電子機器メーカーの社長ハロルド・ヴァン・ウィックは、会長マーガレット・ミダスの娘エリザベスと結婚したためその地位につくことができていた。しかし、会社の金を使い込み、影で何人もの浮気相手がいた。マーガレットは私立探偵を雇い、浮気の決定的瞬間を掴んだ。そしてハロルドを会社からクビのする決意を固めた。このままでは現在の地位が失われてしまう。ハロルドは自宅に設置した監視カメラの映像を駆使して鉄壁のアリバイを作り上げたうえで、強盗に殺害されたという筋書きでマーガレットを殺害したのだった。
31.『5時30分の目撃者』
“A Deadly State of Mind”=「致命的な精神状況」
精神科医マーク・コリア―は、患者である資産家の人妻ナディア・ドナーと深い仲になっていた。また彼女は、催眠に関する本を執筆するための絶好の被験者でもあった。夫カール・ドナーは、マークが患者と不倫関係にあったことを、所属している大学に暴露すると話す。カールは激高して2人に殴りかかると、マークは反撃のためカールを殴り殺してしまった。マークはナディアに、2人組の押し入り強盗に襲われたという作り話をでっちあげるように促す。マークは車で別荘から立ち去ろうとするが、門のところで散歩中の老人を轢きそうになる。マークは彼が盲目であると知ると、何も言わずその場を後にした。時刻は丁度、5時30分のことである。
第5シーズン(1975年 – 1976年)32話~37話
32.『忘れられたスター』
“Forgotten Lady”=「忘れられた女性」
懐かしいミュージカル映画の名場面を集めた番組「ソング&ダンス」が放映された。これが大ヒットして、往年のミュージカル・スターであるグレース・ウィラーと、共演したネッド・ダイヤモンドは再び脚光を浴びた。これを機会に、ミュージカルでカムバック公演をしたいと考えていたが、グレースの夫で元内科医のヘンリー・ウィリスは、ミュージカルの出資金を断る。ミュージカルを開催したい彼女は、睡眠薬を飲ませ眠っている夫を銃殺する。自殺に偽装するために扉の内側に鍵を掛けると、バルコニーから木を伝い脱出したのだった。
33.『ハッサン・サラーの反逆』
“A Case of Immunity”=「治外法権の事件」
スアリ国領事館の総領事代理ハッサン・サラーは、領事館職員のロッホマン・ハビーブと、警備隊長ユセフ・アラファの殺害を実行した。スアリ国王陛下の来訪があるため、警備に関する会議にロス警察へ出向くハッサン。その間、ロッホマンは警備隊長を装い彼に電話を掛ける。その後、金庫を爆破させ、車で裏門を突破して逃走した。領事館内で起こった殺人事件はコロンボが担当することになり、現場を検証していく。すると次々に疑問点が見つかっていく。これは内部犯の犯行だと確信する。ロッホマンに捜査の目が向くと、彼を事故死に見せかけて殺害したのだった。
34.『仮面の男』
“Identity Crisis”=「自我の喪失」
CIA西部地区責任者ネルソン・ブレナーは、死んだと思っていたエージェント「ジェロニモ」が現れて驚く。ネルソンはCIAという地位を利用し、かつて2重スパイで大金を荒稼ぎしていた。その時、手助けをしたのがジェロニモである。彼は2重スパイのことを口止めする代わりに、金銭を要求してくる。ネルソンは、ジェロニモへ待ち合わせ場所の海岸に向かうように促す。そこで取引相手とやりとりをして、ジェロニモが戻ろうとすると、そこにはネルソンいた。彼はジェロニモを撲殺すると金品を奪った。この海岸は「追いはぎ天国」と呼ばれ、強盗の聖地だったのだ。強盗の犯行に仕立て上げた彼は、次の日にはテープレコーダーを駆使した完璧なアリバイも作り上げたのであった。
35.『闘牛士の栄光』
“A Matter of Honor”=「名誉の問題」
メキシコ国民ならば誰もが知る伝説的英雄。闘牛士ルイス・モントーヤは現役を退き闘牛を育てる牧場を経営していた。引退こそしたものの、今も国民的ヒーローである。そんな彼の牧場で輸送中の闘牛マリネロが暴れて、クーロ・ランヘルが大けがをする事故が起きた。クーロを助けに闘牛を鎮めたのが、ルイスとクーロの父であるエクトールで、闘牛を鎮めることに成功した。翌日、エクトールは荷造りをして牧場を去る準備をしていた。クーロが病院から退院すると再びマリネロに挑むだろうと言う。ルイスが敵討ちをするために、マリネロとの決闘でエクトールに介添えを頼んだ。2人は闘技場に出ると、ルイスはエクトールに麻酔銃を打ち込む。意識朦朧となったところで、闘牛を放ち、エクトールを殺害したのだった。ルイスは公演のためにサンディエゴに出かけていたというアリバイを作り、エクトールは息子の敵討ちで闘牛と決闘での事故死に偽装した。
36.『魔術師の幻想』
“Now You See Him”=「こんなところにいたなんて」
魔術王の異名をもつサンティー二は、ナイトクラブでショーをしている凄腕のマジシャンだ。しかし、少年時代はナチス親衛隊軍曹として、ユダヤ人強制収容所で指揮をとっていた過去があった。それを、ナイトクラブのオーナーであるジェシー・ジェロームに掴まれており、秘密を保持する見返りにクラブでの公演料金を搾取しされ続けていた。過去の経歴を公表されれば、サンティー二は戦犯として逮捕されてしまう。サンティー二は、舞台でのマジックショーの間に抜け出し、手品を駆使したトリックでアリバイを完成させる。ジェロームの部屋の鍵を開けると、異変に気づき出てきた彼を射殺したのだった。
37.『さらば提督』
“Last Salute to the Commodore”=「提督への最期の敬礼」
造船会社オーナーのオーティス・スワンソンは、創立記念パーティーの日、不満が爆発する。オーティスの一族は、金儲けのことしか考えておらず不信感が耐え切れなかったのだ。チャーリーは、提督がこのまま会社を身売りするのではないかと考える。このままでは社長という地位がなくなってしまう。その晩、チャーリーは提督の自宅で彼を撲殺したロープ止めの指紋を拭き取っていた。届け物をしにきた造船所所長ウェイン・テイラーがやって来る。チャーリーは提督が生きているように嘘のやり取りを演じると、一緒に屋敷を後にした。提督の自宅を出るには警備員がいるゲートを通らなければならない、潜水具に着替えると海を泳ぎ再び提督の自宅に向かう。提督の恰好をして船を操縦することで、沿岸警備隊に目撃させ、その時間は生きているように見せかけた。遺体を海に投げ込むと再び泳いで戻る。翌朝、無人の提督の船が見つかり、事件は行方不明として捜査が開始されるのだが……
第6シーズン(1976年 – 1977年)38話~45話
38.『ルーサン警部の犯罪』
“Fade in to Murder”=「殺人へのフェイドイン」
テレビ俳優のウォード・ファウラーは、アメリカの人気テレビ番組「ルーサン警部」の主演である。テレビプロデューサーのクレア・デイリーと作り上げた大切な番組だ。しかし裏ではクレアは、ウォードの過去の秘密を握っており、それをネタにギャラの半分を搾取していたのだ。その晩、ウォードはマネージャーに睡眠薬入りの酒を飲ませる。彼が眠りにつくと、野球中継をビデオに録画しておく。その間、クレアがいる飲食店に、覆面を被り押し入る。店主を気絶させると、クレアを射殺したのだった。すぐに自宅へ戻ると、ビデオに録画していた野球中継をつける。先程と野球中継のゲーム進行は変わりはなく、一瞬だけ眠りに落ちていた錯覚を与えたのだ。すぐマネージャーは眠りについた。これで、犯行時間は一緒にテレビを見ていたアリバイ証言してくれる。
39.『黄金のバックル』
“Old Fashioned Murder”=「古風な殺人」
美術館理エドワード・リットンは、赤字続きの美術館を売却する為、目録整理を始めていた。美術館館長ルース・リットンにとって、人生を捧げてきた大切な美術館であり、売却は断固阻止したかった。そのため、邪魔な警備員ミルトン・シャイファーを利用して、エドワードと共に葬り去る計画を実行する。ルースは、ミルトンに美術館の展示品を盗むように指示をする。展示品には多額の保険金が掛けられており、保険金を手に入れるためだと説明し、兄に電話を掛けるように言いつける。その晩、ミルトンは兄に留守番電話を掛けて発砲音を聞かせる。これで、電話を掛けた時刻に死亡したように見せかけることができる。その後、美術館内に侵入して展示品を鞄に詰めている所を射殺した。目録整理をしていたエドワードが、物音に気が付きやってきたところ、彼も射殺する。2人の拳銃を持ち変えさせることで、お互いに相討ちになったように偽装したのだった。
40.『殺しの序曲』
“The Bye-Bye Sky High IQ Murder Case”=「天才よ空の彼方までさようなら殺人事件」
オリバー・ブラントとバーディ・ヘイスティングは、会計事務所の共同経営者であった。また、2人は知能数が上位2%の人間しか入会することができない、『シグマ協会』の会員でもある。シグマ協会の集会の日、オリバーが顧客の金を横領した事実を、バーディは告発すると言う。オリバーは彼を射殺すると、協会にある図書室のレコードプレーヤーの仕掛けを作動させ、下の階に戻った。レコードの再生が終わると、爆竹が破裂して、発砲音が鳴り響いたように聞こえる。倒れた音と同時に2発目の発砲音が聞こえ、シグマ協会のメンバーが急いで図書室へ駆けつける。入り口のドアを開けると、窓を開けていた気圧の影響で図書室の裏のドアが閉まった。たった今、強盗が協会に押し入り、バーディを殺害し逃走していったかのように偽装したのだった。
第7シーズン(1977年 – 1978年)41話~45話
41.『死者のメッセージ』
“Try and Catch Me”=「私を捕まえてごらんなさい」
推理小説家アビゲイル・ミッチェルには、可愛がっていた姪フィリスがいた。彼女はエドモンド・ガルウィンと結婚することになったが、フィリスは4か月前にヨットでの水難事故で事故死したのだった。この事故はエドモンドの殺人であると考え、復讐のために彼を殺害することを決意する。そこで、遺産相続の権利を与えたいと彼に話して自宅へおびき出す。エドモンドを金庫室まで呼び出し、そのまま中に閉じ込めた。その後、予定されていたニューヨークまで飛行機で向かい。翌朝、秘書からエドモンドが金庫室で死亡していたと電話が入る。アビゲイルの自宅には誰もいなかったことを知っていたエドモンドが金庫室に侵入し、誤って金庫室の中に閉じ込められて窒息死したという筋書きを完成させたのだった。
42.『美食の報酬』
“Murder Under Glass”=「グラスの下の殺人」
料理評論家ポール・ジェラードは、その地位を利用して裏では多額の報奨金を受け取っていた。料理店を高く評価することもできれば、逆に店を酷評して潰せるほどの影響力ももっているからだ。これに不満を感じていた、イタリア料理店経営者ヴィットリオ・ロッシは、この事実を大々的に告発すると彼に伝えた。ポールは自宅で、フグの毒を抽出すると、ヴィットリオの店で食事をしながら、もう一度話し合いたいと料理の準備をさせた。そして食事の合間にワインを要求する。ヴィットリオはウェイターのマリオにワイン庫から未開封のワインを持ってこさせた。ワインが到着すると、ポールはすぐに店を後にする。ヴィットリオがワインを開封してグラスに注ぎ、それを飲み乾した。するとしばらくして、ヴィットリオが苦しみ出し中毒死したのだった。
43.『秒読みの殺人』
“Make Me a Perfect Murder"=「私にだって完全犯罪はできる」
テレビ局「CNC」ロサンゼルス支局プロデューサーであるケイ・フリーストンは、支局長マーク・マキャンドリューと、公私をともにする良きパートナーであった。しかし、マークは本社への栄転をきっかけに関係を終わらせるという。これに不満があったケイは、自らの声で録音した秒数をカウントダウンするテープをレコーダーにセットする。試写会で重役たちに映像を見せている間、レコーダーで秒読みを聞きながら、時間内までにフロアを移動する。マークを殺害すると、再び映写室へと戻ったのだった。
44.『攻撃命令』
“How to Dial a Murder”=「殺しのダイヤルを回せ(ヒッチコック監督作品『ダイヤルMを廻せ!』のパロディ)」
心理学者のエリック・メイスンの助手であるチャールズ・ハンターは、亡き妻ロレーンと、かつて不倫関係にあった。エリックは研究所での講義が終わるとチャールズに、健康診断の日にテニスをする約束をする。先に自宅に待っててくれるように頼んだ。健康診断の日、心電図の検査をするエリック。5分間の休憩の時に、医者が部屋から離れた。その隙を見て、自宅に電話を掛ける。台所の電話が鳴ると、犬たちが音に反応して台所に入って来る。チャールズは電話に出ると、エリックは検査が長引きそうだと連絡をする。そして、「バラのつぼみ」という言葉を、チャールズが言うように誘発する。チャールズがその言葉を発した瞬間、犬たちが襲いかかった。2匹のドーベルマンを調教し、ある特定の言葉を聞くと襲い掛かかるように仕組んでいたのだ。
45.『策謀の結末』
“The Conspirators”=「策謀家たち」
詩人ジョー・デヴリンは、少年時代はアイルランドの過激派であった。現在はテロリストであった過去も公表し、紛争の救済活動を行う「北アイルランド愛護協会」の理事も務め、反過激派の平和路線に転身していた。だが裏では、現在も過激派と繋がりがあり、紛争救済のはずの募金は武器購入資金などに企てていたのだ。近々、イギリスで大規模なクーデターを起こす計画も進行しており、武器仲買人のヴィンセント・ポーリーと銃の売買を行う。しかし彼は金を持ち逃げするつもりであり、この事実を掴んだジョーは、裏切り者である彼を「処刑」と称し殺害した。
新・刑事コロンボ 第8シーズン(1989年)46話~49話
46.『汚れた超能力』
“Columbo Goes to the Guillotine”=「コロンボはギロチンに行きます」
超能力者エリオット・ブレイクは、恋人の心霊研究所所長ポーラ・ハルと結託し、インチキの超能力テストを実施して点数をあげていた。国防省は超能力を軍事目的に利用するため、多額の出資金を出している。そこで、国防省が用意した人物のテストを実施してほしいと話す。その人物は「超能力者キラー」の異名をもつ、マックス・ダイソンだ。しかし、2人はかつて刑務所を共に過ごした過去があり、既にグルであった。超能力テストをトリックで突破したエリオットは、国防省から超能力者であると認められる。その晩、マックスは作業部屋で自作のギロチンの製作を行っているとエリオットが現れる。かつて2人は刑務所で脱獄を企てていたが、マックスは脱獄を密告。その見返りに刑期が軽くなったが、エリオットは脱獄犯として刑期がさらに重くなった。このことを根に覚えていたエリオットは、彼に復讐をしに来たのだ。マックスをギロチンで殺害した。
47.『狂ったシナリオ』
“Murder, Smoke and Shadows”=「殺しは煙と影のなかで」
若手映画監督アレックス・ブレイディもとに、学生時代にアマチュア映画を製作していた友人レニー・フィッシャーが会いにやってきた。そして、見てもらいたいという動画が撮影されたフィルムを差し出した。女性がバイクでの事故を起こし、駆け付けるアレックスが映っていた。その女性とは、レニーの妹ジェニーであった。新聞の報道では、バイクでの単独事故で死亡していたことになっていたが、それはアレックスが映画のワンシーンを撮ろうとした際に起きた、スタント中の事故だったのだ。レニーは、この事実を大々的に告発し、アレックスの現在の地位を失墜させるという。アレックスは動画はねつ造されたものだといい、夜にはねつ造を証明して見せるという。その晩、アレックスは言葉巧みにレニーをスタジオセットの大通りに誘導する。散水車により地面は水で濡れ、レニーが鉄の門に手を触れた瞬間、高圧電流が流れ感電死させた。遺体を海岸まで運び出した。顔面を鈍器で潰し、身元不明の遺体にすると、自分への繋がりを断ち切ったのだった。
48.『幻の娼婦』
“Sex and the Married Detective”=「性交渉と既婚刑事」
セックス・カウンセラーのジョーン・アレンビーは、愛人にデヴィッド・キンケードがいた。ある日、講演に向かうために空港へと向かうが、濃霧のため欠航となる。空いた時間で、自身が運営するクリニックへ書類を取りに戻ると、診察室となっているベッドルームに明かりが灯っていることに気が付いた。そこでは、愛人のデヴィッドと、秘書シンディ・ゴールドが愛を交わっていた。それだけではなく、2人はジョーンのことをバカにするような発言をしたのだった。女性としてのプライドを傷つけられた彼女は、彼の殺害を決意する。ジョーンは『娼婦リサ』として変装をする。そして、娼婦と客というプレイの一環で、デヴィッドを誘いだすと、彼を射殺。現場に多数の手がかりを残した。後日、警察は殺人事件として『娼婦リサ』を追うのであった。
49.『迷子の兵隊』
“Grand Deceptions”=「盛大な詐欺」
アメリカ戦力研究財団の理事フランク・ブレイリーは、「特別支援基金」という名目で財団の金を不正に利用していた。それを財団が運営する傭兵学校教官レスター・キーガンに見つかってしまう。フランクは、財団の名誉会長の誕生日に合わせてプレゼントする兵隊のフィギュアを使った鉄壁のアリバイを作った。その間に、レスターを刺殺する。遺体は訓練中の爆発する箇所に移動させて、時間になったら起爆される。財団で行っている訓練中の事故死に偽装したのだった。
第9シーズン(1989年 – 1990年)50話~55話
50.『殺意のキャンバス』
“Murder, a Self-Portrait”=「殺人の自画像」
世界的にも高名な画家マックス・バーシー二には、3人の女性がいた。前妻ルイーズと、現妻ヴァネッサ、そしてデッサンモデルのジュニーである。ある晩、ルイーズは別の男性と婚約するために、この家を出ていくという。しかし、マックスはそれを許すことはできなかった。彼女はおぼろげながらも自身の過去の秘密を握っていたからだった。何かの拍子で思いだし秘密を打ち明けてしまうかもしれない。マックスは、売れない貧乏画家時代にお世話になっていた「ヴィトのバー」で、お礼に店の風景画を描くという。そして描いている最中は、誰も2階にある部屋に入れないように促した。キャンパスを広げると、前もって描いた店の風景画がそこにはあった。マックスは、バーの2階から抜け出すと、ルイーズがいつも泳ぐ海辺に向かった。そして海で溺死させると、再びバーに戻る。犯行時刻、絵画を製作していたというアリバイを作り上げたのだった。
51.『だまされたコロンボ』
“Columbo Cries Wolf”=「コロンボはオオカミ少年」
男性向け雑誌のカメラマンであるショーン・ブラントリーには、共同経営者のダイアン・ハンターがいた。2人は長年恋愛関係にあるのだが、ショーンは美貌な女性モデルたちと悠々自適な生活を送っていた。ダイアンは、ショーンの不誠実な生活や仕事に愛想を尽かし、会社の株をイギリスの財界人サー・ハリー・マシューズに売却する計画を画策していた。ダイアンが空港へ車で移動するとき、ショーンは「2分で片付けろ」とどこかへ電話を掛けた。レストランに運転手が、注文した弁当をとりに向かうと、銃声が聞こえた。すぐに車へ戻るが、何事もない。車内に戻るもダイアンはそこにはいた。無事に空港まで送り届けるが、取引相手のハリーのもとに彼女は来ないと失踪届が出された。果たして、彼女はどこへ消えてしまったのだろうか?
52.『完全犯罪の誤算』
“Agenda for Murder”=「殺人のための議題」
弁護士オスカー・フィンチの自宅に1本の電話が入る。それは、違法スレスレの商売を続けて、起訴されかけているフランク・ステイプリンからだった。彼はオスカーに、今度も昔のような方法で弁護をしてくれるように頼んだ。オスカーは過去に、検事局に保管されている書類を処分するという違法な手段で、フランクの無罪を勝ち取っていたのだった。もし断ればこのことを暴露するという。この時、大統領選の参謀としての仕事にも携わっており、この情報はマスコミが黙ってはいない。オスカーは拳銃の特性を駆使したアリバイ工作を行うと、彼を自殺に見せかけて殺害したのだった。
53.『かみさんよ、安らかに』
“Rest in Peace, Mrs. Columbo”=「コロンボ夫人、安らかに」
不動産業者ヴィヴィアン・ドミートリ―の最愛の夫は、過去に顧客の金を使い込み、その顧客を殺害した。その事件はコロンボ警部が担当し、夫は逮捕された。彼は獄中の心臓麻痺で死亡したことで、ヴィヴィアンは精神的に病み、殺人のきっかけを作った密告者チャーリーと、夫を逮捕したコロンボを逆恨みしていた。ある日、ヴィヴィアンは愛人リーランドと会っていたというアリバイを作ったうえで、チャーリーを殺害した。契約違反の物件を売りつけられた顧客による殺人に偽装すると、コロンボのカミさんも殺害するために行動を起こしたのだった。
54.『華麗なる罠』
“Uneasy Lies the Crown”=「不安な歯の被せ物」
歯科医ヴェズリー・コーマンは、熱狂的なギャンブル狂いであった。とっくに破産しているような金は、愛する娘が結婚して相手だからと、全て義父であるホレス・シャーウィンが肩代わりしていた。とうとうホレスからは絶縁を宣言され、娘リディアとの離婚を突き付けられる。また、リディアも俳優アダム・エヴァンスと以前から不倫関係にあった。妻と離婚してしまえば、ヴェズリーは経済的に破綻してしまう。それを是が非でも避けたい彼は、ホレスに恩を売りつける殺害計画を画策した。妻の不倫相手であるアダムは、元々は患者であり、治療中に歯に時間になると溶けだす毒物を仕組んだ。ヴェズリーはその時刻、友人とギャンブルをしていたアリバイを作り、リディアが電話をかけると、その場所に連絡が入るように設定をした。妻からの電話を受けると、急いで自宅に戻り、アダムの死を隠ぺいしてリディアを介抱する。窮地を救ったことで、義父ホレスからの評価は戻った。しかしヴェズリーは、リディアが殺人を行ったように偽装し、事件を誘導していたのだった。
55.『マリブビーチ殺人事件』
“Murder in Malibu”=「マリブでの殺人」
プレイボーイのウェイン・ジェニングスには、多数の愛人がおり、作家テレサ・ゴーレンもその1人であった。ある日、テレサはテレビ番組でウェインとの婚約を公表する。その晩、愛人宅にいたウェインに1本の電話がかかる。相手はテレサであり、浮気を詰め寄られて結婚を破棄するという。逆上したウェインは車を走らせて、マリブビーチにある彼女の自宅に向かう。そして早朝、彼女を射殺した。捜査が始まると、ウェインは物取りの犯行へと誘導を行う。自身の電話を用いたアリバイも作ったのだが、銃を撃ったのが彼だと分かり詰め寄ると、罪を認め自白をした。「こんなに早く犯人が捕まったのは初めてだ」事件解決かと思われたのだが、検視結果によると、ウェインが銃を発砲した30分も前に彼女は銃で撃たれた死亡していたのだった。
第10シーズン / 単発作品(1990年 – 2003年)56話~69話
56.『殺人講義』
“Columbo Goes to College”=「コロンボが大学へ行きます」
大学生ジャスティン・ロウとクーパー・レッドマンは、テストに合格をするために試験問題を盗み出した。しかし、教授のエドワード・ラスクに不正行為がバレてしまった。これにより、2人に落第か退学かの決断を迫った。2人は必死に罰を逃れようとするが、教授は聞き入れずにその場を跡にした。教授は、犯罪組織の有力者を実名入りで記載した内容の本を出版していた。さらに、教授の周りでは、彼の死を望むものや不穏な噂が多かったのだ。2人はそれを利用して、犯罪組織に命を奪われたように見せる殺人を計画する。その日はコロンボによる特別講義中であり、犯行時刻、学生たちはコロンボの講義を受けていたという鉄壁のアリバイがある。一体どうやって、ジャスティンたちは遠く離れた場所にいる教授を射殺することができたのか?
57.『犯罪警報』
“Caution: Murder Can Be Hazardous to Your Health”=「注意:殺人はあなたの健康を害する可能性があります」
司会者ウェード・アンダースが案内役の『犯罪警報』は、全米で注目を浴びる人気番組だった。しかし、本来ならばニュースキャスターのバド・クラークが司会者に抜擢されていた。ウェードはテレビ局の上層部に不利な噂を流し、バドを蹴落としていたのだった。ある日バドは、ウェードが無名時代に出演したポルノ映画のビデオを入手する。相手の女優は未成年であり、クリーンなイメージのウェードにとって、これが明るみになればお終いである。ウェードは監視カメラの映像を編集し自身のアリバイを作る。そのうえで、ヘビースモーカーのバドに、毒を染み込ませたタバコを吸わせ、心臓発作での突然死に偽装したのだった。
58.『影なき殺人者』
“Columbo and the Murder of a Rock Star”=「コロンボとロックスターの殺人」
刑事弁護士ヒュー・クライトンには、内縁の妻マーシー・エドワーズがいた。しかし、マーシーとバンドマンのネディ・マルコムが愛人関係にあったことを突き止める。別れを告げるが、彼女は刑事弁護士としての信頼を損ねる嘘をでっちあげるという。ヒューは、妻が愛人と密会する日に合わせ、ビーチハウスにあるシャンパンに睡眠薬を混入する。その朝、妻には断酒の薬を紅茶に混ぜ飲ませる。妻と愛人は、いつものようにシャンパンで乾杯をする。しかし、断酒の薬の影響で、彼女はシャンパンは進まなかった。ネディだけはシャンパンを飲み進め、睡眠薬の影響で気絶してしまう。そこに、ヒューが現れ、彼女を扼殺したのだった。ネディが目を覚ますと、マーシーの遺体を発見した。自身の犯行だと疑われることを恐れた彼は、その場を逃走したのだった。
59.『大当たりの死』
“Death Hits the Jackpot”=「大当たりの死」
貧乏カメラマンのフレディ・ブラウアーは、なんと3000万ドルの宝くじに大当たりをしたのだった。だが彼は離婚協議中であり、離婚する前に当選を名乗り出ると、離婚時に当選金額の半分を妻に持っていかれてしまう。それを避けたいフレディは、叔父である宝石商レオン・ラマ―に相談することにした。相談を受けてレオンは、自分が当選者として名乗り賞金を受け取る。その後、フレディに賞金を渡すと提案した。しかし彼は、株で大損し破産状態にあった。当選者紹介の番組に出演したレオンは、一躍時の人となる注目を浴びた。そして、ハロウィーンの日に自宅で大規模な仮装パーティを行い、途中で会場から抜け出すと、フレディ―のアパートに向かった。そこで彼を浴溺死させ、風呂場での入浴中の事故死に偽装をする。その時、部屋に入ってきたのはフレディと離婚協議中の妻マーシーだ。2人は共犯だったのだ。
60.『初夜に消えた花嫁』
“No Time to Die”=「時間がない」
モデルのメリッサ・アレキサンドラ・ヘイズは、コロンボの甥で警察官のアンディ・パーマと結婚をした。結婚式が終わった初夜、アンディがシャワーから戻ると、部屋にはメリッサの姿はなかった。アンディが部屋を見渡すと、片方だけ脱げた靴。麻酔薬が染み込んだ綿を見つけた。メリッサは何者かに誘拐されたと判断し、このことを叔父のコロンボへ連絡した。動機は身代金か?夫婦に恨みをもつ犯人の犯行か?同時刻、とある場所に監禁されていたメリッサに男が忍び寄っていた。
61.『死者のギャンブル』
“A Bird in the Hand…”=「手の中の鳥」
ギャンブラーのハロルド・マッケインは、負け越しによる多額の借金を背負うようになり、ついにはマフィアの借金とりに目をつけられる。フットボールチーム・オーナーの叔父ビッグ・フレッドを頼るが、ハロルドの度重なる悪癖に対して支援を拒否したのだった。ハロルドは伯父の遺産を狙うべく、夜間に庭に駐車していた叔父の車に、パイプ爆弾を仕掛け、エンジンをかけた瞬間に爆殺する予定であった。しかし、翌朝。ビッグはひき逃げ事故にあっていたのだ。そうなると、車に仕掛けられた爆弾は……?ハロルドが急いで叔父の車に向かうと、ヨレヨレのレインコートを着た、警察を名乗る男が車を触っていた。
62.『恋におちたコロンボ』
“It’s All In The Game”=「ゲームのすべて」
資産家ローレン・ステイトンの屋敷で、盛大にパーティーが開催された。恋人ニック・フランコがやってくると、すぐにポーカーの勝負があると屋敷を後にした。ローレンは彼を見送ると、電話をする。相手はリサという女性であり、ニックが会いに向かった女性だ。やがてニックは、リサを連れて自宅アパートに戻る。ローレンはそこに待ち構えており彼を射殺、パーティーへと戻った。その後、ローレンは再びニックの家に向かい、管理人に合鍵を忘れたと告げ、一緒にニックの部屋に向かう。その途中、部屋に残っていたリサが銃を発砲する。そして、遺体の死亡推定時刻を錯覚させるために使用した電気毛布を回収して、窓口から逃走した。ローレンと管理人は、急いで鍵を開けると、部屋にはニックの遺体があった。これで、ローレンのアリバイは成立した。共犯のリサの素性も誰にも知られていない。
63.『4時02分の銃声』
“Butterfly In Shades Of Grey”=「灰色の蝶」
政治評論家でラジオパーソナリティーでもあるフィールディング・チェイスには、義理の娘ヴィクトリアがいて溺愛し、病的な独占欲があり彼女を縛り付けていた。チェイスの下で働く調査員ジェリー・ウィンタースは、彼女の小説家になりたい夢を手助けしたいと考えていた。だが、チェイスは娘が小説家になることで、自分から離れて行ってしまうことを考えると応援はできず、出版の決定を潰したのだった。これに激怒したジェリーは、チェイスが過去に重ねてきた悪行の数々を暴露し、業界から追放させるという。チェイスは電話を使ったトリックで、犯行時刻『4時02分』に、自宅でジェリーと話をしている最中、何者かに殺害されたように見せかける、アリバイを作り上げたのだった。
64.『死を呼ぶジグソー』
“Undercover”=「覆面」
ある晩、都市から離れた場所にあるアパートへ忍び込んだ男がいた。住人の男が帰宅し、侵入した男と鉢合わせになり銃声が響いた。部屋の中から相打ちになった死体が発見されたのだった。遺体の手には、写真を切り分けたようなピースの一片が握られていた。翌日、コロンボとブラウン刑事の元へ、保険調査員アーヴィング・クラッチがやって来る。そして、7年前にロサンゼルスで発生した『400万ドル銀行強盗事件』について語り始めると、トランクの中から、切り分けられた写真の一片と、半分に破かれた名前のリストを取り出したのだった。名前のリストに載る7名の人物が握る、写真のピースを集めて合わせると、未だに発見されていない、400万ドルを隠した場所を示す地図になるという。半信半疑であったコロンボたちは、相打ち事件の被害者となった男のアパートを調べていく。すると、見つからないように隠された、写真のピースを発見したのだった。
65.『奇妙な助っ人』
“Strange Bedfellows”=「奇妙な仲間」
サラブレッドを育成する牧場主グレアム・マクヴェイには、ギャンブル中毒の弟テディ・マクヴェイがいた。弟はついにマフィアにまで金を借りるようになり、競馬に携わる兄グレアムに懇願し、八百長レースで借金を帳消しにできないかと泣きついてきたのだった。八百長レースの日、グレアムは勝つ予定の馬に薬物を飲ませる。レースがはじまると、徐々にその馬は失速して1着での優勝はなくなったのだった。八百長で借金帳消しをする予定だったテディは、さらなる窮地に追い込まれた。グレアムは自分が話をつけると言い、テディを自宅に留まらせる。そして、金貸しブルーノ・ロマーノの経営するレストランに、変装し客として店に入る。そこで、ネズミ騒ぎを起こしたのだった。その晩、テディの運転する車で待ち合わせ場所だという山奥で彼を射殺した。次の日には、ブルーノを自宅に呼び出して射殺した。遺体から銃を抜き取り、凶器と交換する。金を回収したいブルーノがテディを殺害。次には、自身を殺しに来たブルーノを正当防衛で射殺したという、相討ちに見せかけた2重殺人を完成させたのだった。
66.『殺意の斬れ味』
“A Trace of Murder”=「殺人の痕跡」
資産家クリフォード・カルバートは、株取引において不正な情報を提供し、資産を過大に評価し負債の総額を隠していた。このことで、投資家ハワード・セルツァーは莫大な損害を被り、訴訟を起こす準備を進めていた。もし、裁判になれば、いずれ不正があったことが発覚し、クリフォードは無一文になってしまう。妻キャサリンは、横暴な夫には嫌気がさしており、かといってこのままいけば、現在の贅沢な暮らしはなくなってしまう。そこで、愛人パトリック・キンズレーと共犯となり、訴訟を進めるハワードを殺害したうえで、夫クリフォードに罪を被せる計画を企てる。そうすれば、訴訟相手は消え、邪魔な夫も逮捕される。現在の地位を維持したまま生活できる、一石二鳥のアイディアだ。パトリックはロス市警のベテラン鑑識員であり、捜査を有利に運ぶこともできるのだった。
67.『復讐を抱いて眠れ』
“Ashes to Ashes”=「灰から灰へ」
葬儀社社長エリック・プリンスは、過去の葬儀で女優ドロテア・ページの遺体から、ダイヤのネックレスを盗み出し、それを資金に事業拡大をしていた。そのことを、かつての愛人で芸能レポーターでもあるヴェリティ・チャンドラーに突き止められてしまう。彼女はこのことを、自身がメインパーソナリティーを務める番組で暴露すると話す。事件発覚を恐れたエリックは、葬儀社にある遺体の処置室で彼女を殺害した。この日は、俳優チャック・ヒューストンの葬儀であり、式の終了後、棺の遺体をヴェリティに入れ替えて火葬したのだった。その遺灰が入った骨壺をチャックの妻に渡し、灰は空から撒かれた。その晩には、ヴェリティの自宅に侵入し、誘拐されたように見せかける。翌日にはチャック氏の遺体を、ガス爆発で亡くなった遺体と共に火葬をする。死体もなければ、証拠もない。すべて焼却してしまったのだから……。
68.『奪われた旋律』
“Murder With Too Many Notes”=「音符の多い殺人」どうだろうか?
→2020年6月10日コメント欄で匿名の方より詳しく解説していただきました。
作曲家キンドレー・クロフォードは、サスペンス映画音楽の巨匠として知られていたが、すでに才能が枯れ果てており、最近の曲は弟子であるガブリエル・マッケンリーが作曲したものであった。ゴーストライターとして使われ、自身の名前は公表されない。そのことに不満を感じていたガブリエルは、映画監督に暴露すると話す。キンドレーにとって、これが知られてしまえば、自身の名誉は地に落ちてしまう。コンサートが始まる時刻に合わせて、スタジオの地下にあるエレベーターを作動させる。それは、ガブリエルが指揮台に見たて立っていた、鉄の蓋に通じていた。エレベーターが上がりきると、鉄の蓋は開き、睡眠薬で気絶していたガブリエルは屋上から地面に落下する。いつもスタジオの屋上で練習するガブリエルが、事故死したように偽装したのだった。
69.『殺意のナイトクラブ』(BD版の題名)
『虚飾のオープニング・ナイト』(WOWOW版の題名)
“Columbo Likes the Nightlife”=「コロンボは夜遊びが好き」
レイヴ・プロモーターのジャスティン・プライスは、投資家トニー・ガルパ―が資金援助を申し出てくれたおかげで、長年の夢であった自分のクラブを、グランドオープンすることができるようになった。トニーはその帰りに、元妻ヴァネッサ・ファローの自宅を訪れる。そこで、彼女がジャスティンと恋人になっているのを知ると激怒する。2人は揉み合いとなり、そのはずみでトニーは突き飛ばされ、運悪く頭をガラステーブルにぶつけてしまい、死んでしまったのだった。トニーの父親はニューヨークマフィアであり、このことが知られてしまえば自分の命はない。また、ジャスティンにとっても、彼が死んだと分かれば、出資金の援助が受けられない。2人は共犯となり、遺体を隠したのだった。
以上、『刑事コロンボの作品一覧(全69作)』でした。
どなたか、指摘されておられるかもしれませんが、
Murder With Too Many Notes
の “too many notes” は、作曲家のモーツァルトが、自身のオペラ「後宮からの誘拐(Die Entführung aus dem Serail)」の初演時に、パトロンだったヨーゼフ2世から、「君の音楽には”Too Many Notes”がある」と言われ、「どこにそれがあるのか教えてください!」と反発したというエピソードからきているものと思われます。映画アマデウスでも描かれていました。このcontextからは、notesは音符のことを示しています。
匿名様
『奪われた旋律-Murder With Too Many Notes』の原題訳について解説ありがとうございます!
≫作曲家のモーツァルトが、自身のオペラ「後宮からの誘拐(Die Entführung aus dem Serail)」の初演時に、パトロンだったヨーゼフ2世から、「君の音楽には”Too Many Notes”がある」
≫映画アマデウスでも描かれていました
学ばせていただきました。映画「アマデウス」もぜひ観たいと思います。
コメントありがとうございました!